第11話 異形種、ヴァンパイア

おいおい、20体って嘘だろ……。


勇者候補の一人として、今目の前にいる魔王軍幹部クリスと戦っている。まさか、レベル92の最凶召喚士とは思っていなかった。


「フハハハ!己の弱さに嘆くんだな。見よ!この20体の我がシャドウ・マンを!どんな戦い方ができると思う?ん?」


難問だな……。いくら前世でもこーいう世界で戦っていたとしても、俺にはろくな戦闘知識が無い。


「へへっ。そうだな。俺だったら……」


「おっそーい!シャドウ・パンチィ!」


シャドウ・マン20体から一気に一体につき一本の腕が出現した。シャドウ・マンの腹からだ。それらは、迅速に俺を殺さんとばかりに迫ってくる。


「なる……ほどな。シャドウ・マンはそれ自体が影だから……。シャドウ・パンチをいくらでも撃てる、ということか」


「御明算!さすが勇者候補に選ばれし者ですねぇ!でも、私の実力はここからが本気になるんですよ……」


すると、彼の姿がたちまち消えた。おそらく、消えてるうちに回復魔法かスキルで腕からの出血を止めるつもりなのだろう。シャドウ・パンチ20連撃を喰らった俺は、もう立てる気力すら残ってなかった。


「まだ、戦える……。剣を凍らせて振り、周りを凍らせるスキル……。アイス・スラッシュ!」


自身の剣を、横に振り、飛ぶ斬撃を前の20体に向かって飛ばす。それ自体にはそんなに火力を求めることはできない。しかし、その斬撃が通ったところは……。


「グギギギギ」


シャドウ・マンは意味のわからない言葉を発し、20体全て凍った。そして、その凍りは溶ける。溶ければ、凍らされたモノも溶ける。つまり、シャドウ・マン20体は凍りによって一掃された。


『なっ!?バカな……。20体全員一回のスキルで屠るだと!?』


クリスは消えてるため、電話してる時のような少し高い声だった。


そして、その凍りは……。その上に消えてる者でも、凍らせられる。


「しまった!あああ……。なんという失態を私はしてしまったのだ……」


凍らされたクリスが完全に姿を現した。その姿は、まるで異形種のような姿だった。先程までの、見事な紳士っぷりの執事とは裏腹に。ドラゴンよりも凶悪そうな魔獣がそこにいた。


「私の姿を見て驚いてるのでしょう?ククク。この姿こそが、我の本当の姿である」


スカウターのような能力透視であいつを見る。名前は以前と変わらず、魔王軍幹部クリスだ。だが、種族が変わっていた。ヒューマンではなく……。



「その姿なら、納得いくわ……。人間ですらまだ辿り着けていないという、未知の領域。レベル80越え。あんたがヴァンパイアで、人間を凌ぐ種族だとしても。俺には、大逆転を狙える最強のスキルが存在する」


「勇者スキルってやつかい?フンっ。その程度のレベルじゃ、無理だね」


ヴァンパイアは、凍りが邪魔だと言わんばかりに両腕で凍りを砕き、破壊する。


「ああ〜。軽くなった。さて、そろそろ殺させていただこう。この姿を見たモノは、全て消している……」


そして、ヴァンパイアはものすごい勢いで俺に襲ってきた。右爪からの左爪の二連撃。それは、簡単に剣で返せた。


しかし、そのあとヴァンパイアがなにか魔法を唱え、俺を炎のブレスが襲った。それを完全に防げることはなく、近距離で勢いよく喰らったために、後ろへ吹き飛んだ。


「グハッ。アグッ。う"っ。痛てぇじゃねぇか……」


自分の体力を見るともう残りが全体の1%ぐらいだった。さすがは異形種……。でも、負けられないんだ……。


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魔王討伐を女神様に頼まれましたが、俺はまだまだ未熟です~実は仲間がチートでした~ 龍牙王鳳 @saoaloggounlimitedworld1245

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