その【運び屋】はお人好し。矜持を胸に、ワケあり少女たちと大迷宮へ挑め。

 パーティ追放系の定番、でしょうか。私は普段あまり読まないので詳しくはないのですが、丁寧に堅実に練られた世界観と、個性的なキャラが織りなす、味わい深いストーリーです。

 ギフト持ちが優遇される世界で、ハズレギフトの烙印を押されてしまった【運び屋】のベアさんは、最高ランクのパーティから追い出されてしまいます。パーティリーダーがめっちゃ意地悪で、女性ヒーラーは気にかけてくれる、……という背景が後々までも効いてくる構成となっております。
 ソロになりながらも細々と、それなりに楽しんで大迷宮を探索していたベアさんの前に、アミノと名乗る少女が現れたことから始まる、激動の探索ライフ。誰かの危機を救ったり、自分が危機に陥ったりしながら、ギフトと知略を尽くして道を切り開く展開は、読んでいてワクワクさせられますし、バトルシーンもかなりの迫力です。
 アミノを始めとした新たな仲間たちがとても可愛くて、ベアさんの真面目さと人の良さと上手く噛み合っていて、応援もしたくなりますね。個人的なお気に入りはねこみみな魔法使いさんです。

 第二章の「戦争」編では、国家間の権益を巡る陰謀に巻き込まれてゆくのですが、他の冒険者たちとも交友の輪が広がる中で、各自が持つギフトとアーティファクトを駆使してピンチを切り抜けてゆく畳み掛けが非常に面白いです。
 お人好しのベアさんは、仲間を守り抜き冒険者の矜持を守れるのか? 完結作品です。ぜひご一読ください。

その他のおすすめレビュー

羽鳥(眞城白歌)さんの他のおすすめレビュー952