(前)およそ1000年の時を遡り復活！ マジカル♡またぎ🐻魔女っ子☆ゆきちゃん爆誕❇(前編)

今をときめくマジカル♡またぎ🐻はこうして生まれた❇

０　前回（ぜんかい）のあらすじ

　天城辰子（あまじょう たつこ　）(享年（きょうねん）24歳（さい）)はヒグマに食（く）われて死（し）んだ。しかも、そのときの『死（し）にたくない』という願（ねが）いをうるうど神（しん）(『四年（よねん）に一度（いちど）(KAC20201)』だけチカラを持（も）つ神（かみ）)に中途半端（ちゅうとはんぱ）に叶（かな）えられ、うるう年（どし）のたびに復活（ふっかつ）しては獣（けもの）に食（く）われるという壮絶（そうぜつ）な人生（じんせい）(？)を送（おく）っていた★

(KAC20201お題（だい）「四年（よねん）に一度（いちど）」の『神（かみ）さま、お願（ねが）い』参照（さんしょう）。グロ注意（ちゅうい）⚠　読（よ）まなくても問題（もんだい）ナッシングです)

１　1000年（ねん）に一度（いちど）のミレニアム神（しん）現（あらわ）る

　そして私（わたし）は目（め）を覚（さ）ました。もう何回目（なんかいめ）かも憶（おぼ）えていない。

「あ〜あ、今日（きょう）は何（なに）に食（た）べられるんだろう。いくら死（し）なないからといって、毎度毎度（まいどまいど）食（た）べられるのは慣（な）れないんだけれどなぁ★」

　ベッドから起（お）き上（あ）がり、スマートフォン風（ふう）ポケベル(この時代（じだい）スマートフォンは存在（そんざい）せず、機能（きのう）を充実（じゅうじつ）させたポケットベルが華麗（かれい）に復活（ふっかつ）していた☆)を手（て）に取（と）り、日付（ひづけ）を見（み）た。(西暦（せいれき）)3000年（ねん）の２月（がつ）28日（にち）だ。ん？　２月（がつ）28日（にち）？

　あの融通（ゆうづう）の利（き）かないうるうど神（しん）さまは、うるう日（び）以外（いがい）はチカラがないはずなのにな？　どうしたんだろう？

〔その問（と）い掛（か）けには、吾輩（わがはい）が答（こた）えよう〕

「えっ？　誰（だれ）？　誰（だれ）？」

〔そなたの前（まえ）に姿（すがた）を表（あらわ）すことは出来（でき）ぬ。吾輩（わがはい）は1000年（ねん）に一年（いちねん）だけチカラを持（も）つミレニアム神（しん）である〕

「ミレニアムというと、将棋（しょうぎ）の『四間飛車（しけんびしゃ）藤井（ふじい）システム』に対（たい）する居飛車側（いびしゃがわ）の有力（ゆうりょく）な囲（かこ）い？　確（たし）か、三浦弘行（　み　う　み　う　）現九段（げんくだん）は、その功績（こうせき）によって升田幸三賞（　ますだ こうぞう しょう）も受賞（じゅしょう）したのでは？」

〔いや、その囲（かこ）いは取（と）り敢（あ）えず関係（かんけい）ない。うるうど神（しん）のヤツから、注文（ちゅうもん）の多（おお）い魂（たましい）をなんとかして欲（ほ）しいと頼（たの）まれてだな、そなたに肉体（にくたい）を与（あた）えるべく現（あらわ）れたのだ……〕

「ホントですか？　ありがとうございます、閣下（かっか）♡」

２　2024年（ねん）２月（がつ）29日（にち）に遡（さかのぼ）って参（まい）りました

　目（め）が覚（さ）めた。変（へん）な夢（ゆめ）を見（み）たな〜。でもなんか、妙（みょう）にリアル。今日（きょう）は何年（なんねん）だろ？　スマートフォンで確認（かくにん）すると。

　2024年（ねん）２月（がつ）29日（にち）。っていうことは？　今（いま）の夢（ゆめ）は夢（ゆめ）じゃなくて現実（げんじつ）？　だとすると、私（わたし）が死（し）んだ４年後（ねんご）に復活（ふっかつ）した訳（わけ）か？

　じゃあ、ここは私（わたし）の実家（じっか）？　お母（かあ）さんに挨拶（あいさつ）しとかないと。

３　お母（かあ）さんは動（どう）じない

「そうなの？　大変（たいへん）だったわね〜」

「辛（つら）かったよお〜、うわ〜ん💦」

「よしよし」

　お母（かあ）さんは、私（わたし）のこの姿（すがた）を見（み）ても動（どう）じなかった。『お腹（なか）すいてるでしょ？』と山盛（やまも）りのパンとミルクティーを用意（ようい）してくれ(あの『最高（さいこう）のお祭（まつ）り(KAC20202)』のパンである)、

私（わたし）は食（た）べながらミレニアム神（しん）さまから聞（き）いたことを憶（おぼ）えている限（かぎ）り、お母（かあ）さんに話（はな）したのだった。

「二階（にかい）には優輝（ゆうき）がいるから、会（あ）ってきなさい。優輝（ゆうき）も喜（よろこ）んでくれると思（おも）うわ」

　お兄（にい）ちゃんも私（わたし）が死（し）んで、さぞや悲（かな）しんだことだろう。早（はや）く行（い）って安心（あんしん）させてあげなくっちゃ！

４　お兄（にい）ちゃん……ジト目（め）

　お兄（にい）ちゃんの部屋（へや）に入（はい）り、

「お兄（にい）ちゃん！」

と声（こえ）を掛（か）けた。

　お兄（にい）ちゃんは、玉響（たまゆら）驚（おどろ）いていたけれど、すぐさま満面（まんめん）の笑（え）みを浮（う）かべ、

「おいで♡」

と両手（りょうて）を広（ひろ）げて、私（わたし）を迎（むか）えてくれた。

「お兄（にい）ちゃ〜ん♡」

　走（はし）り寄（よ）ってハグをする。お兄（にい）ちゃんと再開（さいかい）できるなんて、思（おも）ってもみなかった。嬉（うれ）しい💕

「神（かみ）さま、ありがとうございます☆　俺（おれ）の元（もと）に、このような超絶美少女（ちょうぜつびしょうじょ）を使（つか）わして下（くだ）さって」

　ん？　何（なに）か様子（ようす）がおかしい気（き）がする。

「お兄（にい）ちゃん？　私（わたし）が誰（だれ）だかわかる」

「小学生（しょうがくせい）美少女（びしょうじょ）ということは華（はな）ちゃん？」

「違（ちが）います！」

「では、ポプラちゃんかな？」

「ち〜が〜う〜★」

「それでは、『つるペタエンジェル♡ミルキー☆めぐみん』かっ……ぐえっ！」

　腐（くさ）れ兄貴（あにき）が言（い）い終（お）える前（まえ）に、私（わたし）の後（うし）ろ回（まわ）し蹴（げ）りが、みぞおちを抉（えぐ）っていた。

　膝（ひざ）をつき、腹部（ふくぶ）を押（お）さえて悶絶（もんぜつ）する兄（あに）に、

「やだな〜、冗談（じょうだん）が上手（じょうず）なんだから〜♪　あなたの可愛（かわい）い妹（いもうと）の辰子（たつこ）ちゃんだよー★」

と、思（おも）いっきり毒（どく）を込（こ）めつつアニメ声（ごえ）で言（い）ってやった。

　もうっ！　感動（かんどう）の再会（さいかい）が台無（だいな）しだよお。激（げき）おこぷんぷん丸（まる）っ！

５　北○道（ほっ○○どう）は人食（ひとく）いヒグマ天国（パラダイス）になりつつあった

「そうか、それで13歳（さい）、中学生（ちゅうがくせい）の姿（すがた）なのか？」

「そ。歳（とし）も取（と）らないんだって！　もちろん戸籍上（こせきじょう）は死（し）んでるから、戸籍（こせき）とか住民票（じゅうみんひょう）もないし」

「それで、魔法（まほう）が使（つか）えるってホントか？」

「まだ、試（ため）してないからわからないけれど。私（わたし）の部屋（へや）に説明書的（せつめいしょてき）なモノが届（とど）いてるんじゃないかなあ？」

「よし、探（さが）しに行（い）ってみよう」

　あった。阪神（はんしん）広辞苑（こうじえん）球場並（きゅうじょうなみ）の分厚（ぶあつ）い取扱説明書（トリセツ）が13冊（さつ）。手（て）に取（と）る気（き）にすらならなかったので、お兄（にい）ちゃんの部屋（へや）へ『Ｕターン（とんぼ返り）(KAC20203)』。

「そうか。これは、お前（まえ）に責任（せきにん）を取（と）ってヒグマ退治（たいじ）をしろという、天（てん）の思（おぼ）し召（め）しだな」

「どゆこと？」

「お前（まえ）を食（く）ったヒグマな。それで味（あじ）を占（し）めて、人間（にんげん）、それも女性（じょせい）を中心（ちゅうしん）に襲（おそ）うようになってな〜。射殺（しゃさつ）されるまでに666人（にん）も殺害（さつがい）してる💥🔫　ギネス記録更新（きろくこうしん）だ」

「わあー、まさに野獣（ビースト）だね★」

「しかも、驚（おどろ）くほどの多産（たさん）でな。判明（はんめい）しているだけで13頭（とう）の子（こ）がいるらしい。総（すべ）て人食（ひとく）いで、ついたあだ名（な）が死神13（デスサーティーン）！」

「ラリホー↴　『拡散（かくさん）する種（しゅ）(KAC20204)』ていうか、子種（こだね）だね★」

「お前（まえ）、責任（せきにん）を感（かん）じるんだったら、行（い）って退治（たいじ）してこい！　責任（せきにん）感（かん）じてなくてもやっつけてこい！」

「正直（しょうじき）、ヒグマは怖（こわ）いんですけれど★」

　ヒグマには50回（かい）以上（いじょう）食（く）われてるし。

６　マジカル♡またぎ🐻魔女（まじょ）っ子（こ）☆ゆきちゃん爆誕（ばくたん）❇

「良（い）いだろう。この兄（あに）が、素晴（すば）らしい名前（なまえ）を付（つ）けてやろう。『マジカル♡またぎ🐻魔女（まじょ）っ子（こ）☆たつこちゃん』」

　ぶっ💦　何（なに）その、ダサいネーミングは。特（とく）に『魔女（まじょ）っ子（こ）』は卒業（そつぎょう）したい。それに、実（じつ）の名（な）の『たつこ』はあり得（え）ない！

「全力（ぜんりょく）でお断（ことわ）りだよ！　『魔女（まじょ）っ子（こ）言（い）うな』って、昔（むかし）から言（い）ってるでしょ？　あと、『たつこ』は死（し）んでも嫌（いや）！　可愛（かわい）くないし、自分（じぶん）の名前（なまえ）を付（つ）けるなんて、どんな羞恥（しゅうち）プレイなのよ？　そうか、お兄（にい）ちゃんの名前（なまえ）にすれば良（い）いんだよ♡　魔女（まじょ）っ子（こ）☆ゆうきちゃん♪　どう？」

「ぐわああぁぁ。やめてけれー！」

「でしょ？　名前（なまえ）付（つ）けるなら、絶対（ぜったい）『魔法少女（まほうしょうじょ）』系（けい）が良（い）いし。『魔法少女（まほうしょうじょ）リリカル☆ゆうき』は♪」

「ぎぃやああぁ〜！　『ゆうき』はやめれ、『ゆうき』は★　そうだ、『ゆき』にしよう。北海○（ほっかい○○）だから、雪（ゆき）に繋（つな）がるしな❄」

７　いざ○海道（○○かいどう）へ

　リビングに降（お）りるとお母（かあ）さんがワイドショーを見（み）ていた。

「やーねー！　辰子（たつこ）を襲（おそ）ったクマの子（こ）が、また女性（じょせい）を襲（おそ）ったんだって！」

　ズキン★　私（わたし）の好奇心（こうきしん）がきっかけで

13頭の人食いヒグマ（デ　ス　サ　ー　テ　ィ　ー　ン）を生（う）み出（だ）したんだとしたら胸（むね）が痛（いた）む。このまま放（ほう）ってはおけない。

「お母（かあ）さん、私（わたし）行（い）って来（く）るよ！　死神13（デスサーティーン）退治（たいじ）に」

「あなたなら、そう言（い）うと思（おも）ってたわ。はいこれ、きびだんご🍡　これで、道中（どうちゅう）、イヌサルキジを仲間（なかま）になさい」

　きびだんご？　桃太郎（ももたろう）？　しかし、どう見（み）ても三色（さんしょく）だんごである🍡　これまた、ヤマザ○パンの商品（しょうひん）だ。

「お母（かあ）さん、それは違（ちが）う……」

「冗談（じょうだん）よ。優輝（ゆうき）も手伝（てつだ）ってあげなさい」

「いや、俺（おれ）、仕事（しごと）が……」

「大丈夫（だいじょうぶ）よ。辞表（じひょう）は郵送（ゆうそう）しておいたわ」

「大丈夫（だいじょうぶ）じゃねーよっ！　郵便局（ゆうびんきょく）行（い）って、届（とど）けられる前（まえ）に回収（かいしゅう）しねーと！」

「優輝（ゆうき）！　あなたは、人（ひと）の命（いのち）と仕事（しごと）とどっちが大切（たいせつ）だと思（おも）ってるの！」

「人（ひと）の命（いのち）が大切（たいせつ）なのはわかるけれども、だからって辞表（じひょう）は……」

「嘘（うそ）よ。実（じつ）は辞表（じひょう）はまだ手元（てもと）にあるわ。でも、辰子（たつこ）を手伝（てつだ）わないのであれば……」

「わ、わかったよ★　でも、俺（おれ）なんかがついていっても……」

「こんなこともあろうかと、うちには二種類（にしゅるい）の強力（きょうりょく）な武器（ぶき）があるわ。オーディンの槍（ヤリ）とトールのハンマーよ🔨」

「グングニールとミョルニールかよ」

　このリビングの壁（かべ）にギンギラギンにさり気（げ）なく立（た）て掛（か）けられている。

「この世界（せかい）に魔王（まおう）が攻（せ）め込（こ）んで来（き）たときのために、通販番組（つうはんばんぐみ）で買（か）っておいたのよ。おまけとして高枝切（たかえだき）り鋏（ばさみ）がついてきたわ♪　備（そな）えあれば憂（うれ）いなしというわけ。ヒグマ退治（たいじ）には役不足（やくぶそく）なほどの逸品（いっぴん）よ☆　どちらか持（も）っていきなさい」

「魔王（そっち）心配（しんぱい）するなら、南海（なんかい）トラフ地震（じしん）を心配（しんぱい）した方（ほう）が良（い）いんじゃないの？　じゃあ、グングニールで↴」

「その槍（ヤリ）は、○ン祭（まつ）りのお皿（さら）を除（のぞ）く、この世（よ）のあらゆるものを貫（つらぬ）く威力（いりょく）があるわ。それとパ○祭（まつ）りのお皿（さら）を加工（かこう）して作（つく）った盾（たて）も授（さず）けるわ。辰子（たつこ）のチカラになってあげてね

……って、一番（いちばん）肝心（かんじん）なモノを忘（わす）れてたわ。魔法の杖（マジカルステッキ）よ☆　金田持雄（かねだ　もちお）さんが国外逃亡（こくがいとうぼう）する前（まえ）に返（かえ）しておいてくれてたのよ」

「そうだったんだ。ありがとう♡　これさえあれば百人力（ひゃくにんりき）だよ☆」

　こうして、私（わたし）天城辰子（あまじょう　たつこ）(13歳（さい）自称（じしょう）超絶美少女（ちょうぜつびしょうじょ）、戸籍上（こせきじょう）は享年（きょうねん）24歳（さい）と美人薄命（びじんはくめい）を体現（たいげん）)と、兄（あに）天城優輝（あまじょう　ゆうき）(31歳（さい）)は北○道（ほっ○○どう）へと旅立（たびだ）つこととなったのだった。

　(読（よ）みきりなのに)つづく