あとがき

あとがき

 ネットであれこれを小説を書いたり、オフラインでは同人誌も作ったりしていますが、いままで「あとがき」というものをほとんどやってきませんでした。

 理由は自分でもよくわからないのですが……作品と作者が地続きになってしまうような気がして、それを嫌ったのかもしれません。

 けれども今作に関しては、あとがきを残そうと思いました。

 理由は単純でして、今作「コキュトスでも涙は凍らない」が、思っていたよりも多くの人に読んでいただき、また、もはやない方が当たり前な感想もいただけまして嬉しかったからです。



 もともと「コキュトス」はネットで公開するために書いた作品ではありませんでした。

 こちらは過去に公募に出した作品でした。ライトノベル系の公募です。結果は……ここで公開していることから、察してください。

 要するに公募で落ちてしまった作品です。文字数が大体文庫本一冊程度なのは、そのためです。

 しかし公募で落ちてしまったからといってそこで終わりにしては、寂しいし悔しいので、ネットでの連載をはじめたわけです。

 せっかく書いたのですから、ちょっとでも誰かに読んでもらいたい……供養公開ですね。

 といっても、私は「読まれる作者」ではありません。

 流行りものを書いているわけでも、特別小説がうまいわけでもありません。

 だからネットで公開したところで、誰かに読んでもらえるかどうかなんて、わかりきっていたことでした。

 最後まででなくても、読んでくれる人が一人でもいたり、感想が一つでももらえれば、それだけで十分「私、頑張ったな」って思えたわけです。

 ……誰にも読んでもらえないからといって、作品の連載を止める・消しちゃうような無責任なことはしませんけどね。なんというか、プライドがあります。あと好きなことですので。

 まあそれはさておき。誰かに読んでもらえたらいいなーとふわっと思いながら連載をはじめたのですが……思ったよりも多くの人に作品を読んでもらえて、感想もいただけました。

 嬉しいです。

 どのくらい嬉しかったかというと、まさにあとがきを残そうって思うくらい嬉しいです。

 誰かに読まれなくても感想がなくても、好きだから続けられることですが、誰かがいて言葉をかけてもらえるのと、そうでないの、全然心が違います。

 だから「読んでくれてありがとうございます」を言いたくて、あとがきを残そうと思ったわけです。

 読んでくれてありがとうございます。



 「コキュトス」は明るい物語ではありません。そして派手な物語でもありません。

 このお話を執筆したのは……去年2019年の四月締切の公募に出したので、おそらく2018年の後半から2019年の春頃だったのだと思います。

 どんなお話・最後にしようか練っていた時に、物語最後のシーン(ルチフが起き上がって一人歩いていくところ)を強くイメージできたことは憶えています。

 ちなみに、物語を練る際に、ウィキペディアでカニバリズム関係や雪山遭難についての記事を参考程度に読むこともありました。物語中で活かされることはなかった……と思いますが、興味深いものもあるので、気になる方は読んでみるといいかもしれません。

 私が興味深いなと思ったのは「八甲田雪中行軍遭難事件」「ドナー隊」「ウルグアイ空軍機571便遭難事故」です……知ってる方からすると有名どころですね。

 暇な時にでもどうぞ。



(あとがきの上手な終わらせ方がわからない)

 さて。

 この文章を読んでいるということは、あとがきもここまで読んでくれた、ということですね。

 ありがとうございます。

 そして改めて、この作品を読んでいただき、ありがとうございました。


2020年7月5日 ひゐ

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コキュトスでも涙は凍らない ひゐ(宵々屋) @yoiyoiya

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