第1話 入学初日①

東翁学園の屋上、そこは昼休みは人が多いが、放課後は人の出入りが少ないと有名である告白スポットである。今日も誰かが告白しているようだ。

「お、俺は堀崎さん。あなたのことが好きです。俺と付き合ってください!」


これはとある不仲の高校生が恋に落ち、付き合うまでの物語である。

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「う〜ん どうしようかなぁ...」

 

 今俺は新入生代表の言葉をどうするかで迷っている。言いたい言葉は大体決まったんだが、初めてのことで自信がない。だからなのか悩んでしまう。ちなみにだが、俺が入学する高校は周辺地域で一番良い進学校の東翁学園とうおうがくえんだ。


「最初は決まり文句みたいだから簡単なんだけどなぁ。中盤はこれからのことを書けばいいのかな?あ〜どうしよう、まじで決まらない...」


俺はこの後しばらく考え、なんとか完成させることができた。


「疲れた〜。明日は入学式かぁ、緊張はしないだろうけど頑張んないとな!」


そうして俺はベッドに入って眠りについた。

翌朝、アラームの音で時間通りに起きはことができ、学校に行くための支度をし、制服を着て家を出た。学校は徒歩で行ける圏内なので、遅く出ても問題はないが、新入生代表の言葉があるからちょっと早めに出た。


突然だが、俺の話をしたいと思う。名前は藤堂蓮とうどうれん。俺は自分の容姿を結構良い方だと思っている。その証拠に告白されたことはこれまでに何回もあるし、今歩いてる途中にも同じ学校だと思う女の子達から「あの人かっこよくない?」と言われてるのが聞こえた。それでも、付き合ったことはないから童貞だけど。まぁそんな話は置いといて、俺は大抵のことだったらなんでもできると思う。例えば勉強や運動だ。勉強だと、模試の全国の順位はいつも1桁をとってるし、運動は様々な種目をそつなくこなすことができる。多少嫉妬されることはあったが友達と良好な関係を作れていたと思う。入学する高校には俺の親友である合田祐介ごうだゆうすけもいるし、高校生活が楽しみだ。そんなことを考えてると...


「おはっす、蓮!」と後ろから声をかけられた。

噂をすればなんとやら、こいつが祐介である。祐介は俺から見ても結構なイケメンであり、コミュ力もある陽キャだ。


「おっす、祐介。」

「蓮は早いな、代表の言葉は考えたのか?」

「お前も早いじゃねぇかよ、てか代表の言葉に関しては昨日のうちに考え終わってるっての。はぁ〜面倒だけど頑張んないとな...」

「流石だな、まぁ蓮のカッコいい姿見ててやるからビシッとしろよ、あと緊張で声小さかったり、逆に大きな声になりすぎんなよ!」

「分かってるよそんなこと。そんなヘマはしないっての!」

そんな感じで話していると学校に着いた。


体育館に9時集合なのだが、俺たちは8時15分に着いたためか、他の新入生は全然いなくて空席が多い。


「来た順に座るから隣に座ろうぜ!」と祐介は言ってくる。だが俺は代表の言葉があるから隣の席は無理なので断る。


「代表者はサイドにある特別席に座らないといけないから無理なんだよ。悪いな...」

「あ〜無理なのか、まぁ俺なら大丈夫だから蓮は挨拶頑張ってな。同じクラスだったら後で教室で話そうな!」


俺は「おう!」と一言だけ言って祐介から少し離れた特別席に座った。その後スマホを使って時間を潰していると、「もうすぐ9時になります。新入生の皆さんは静かに座って待っていてください。もう間も無く入学式を始めたいと思います。」といったアナウンスが流れだした。

数分待っていると

「開式のことば。これより、東翁学園高等学校入学式を始めます。」

こうして俺の高校生活最初の行事である入学式が始まった。

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(堀崎side)


「明日から高校生かぁ」


私の名前は、堀崎美羽ほりさきみうです。明日から東翁学園とうおうがくえんという進学校に入学します。私はこの高校を目指すために中学校三年間努力してきました。親からは「他のところにしたら?」と言われましたが、必死に頑張ったことでどうにか受かることができました。


「は〜明日から高校生活大丈夫かな?」


私は勉強面以外では全く自信がないので、明日からどうなるか少し不安ですが、高校生活を楽しめたらいいなといった期待も持っています。明日は少し早く起きないといけないのでもう寝たいと思います。


「おやすみなさい」


両親におやすみを言い、明日に備え私は眠りにつきました。

翌朝、私はアラームで時間通りに起きることができたので、学校に行くための支度を済まし、朝食をとっているとスマホが『ブゥー』っと振動しました。どうやら誰かからLAIMが来たようです。


「あっ遥ちゃんだ!」


その相手は私の幼馴染、小野遥香おのはるかちゃんだったみたいです。遥ちゃんは容姿端麗で、なんでもできる私の憧れの幼馴染です。えっとLAIMの内容は...


『今日一緒に学校行こ!』というお誘いでした。私も一人で行くより誰かと一緒に行きたかったので...


『いいよ! 一緒に行こう』『何時にする?』と、送って待っていると...


『入学式は9時集合だから、早めに行ってお喋りしたいし、7時20分に美羽の家行くね!』と、かわいいスタンプと一緒に送られてきました。

『分かった!』と、スタンプと一緒に送り、家で朝のニュースを見て待っていると...


『ピンポーン』とインターホンが鳴りました。インターホンにでると遥ちゃんが写っていたので、

「今行くね」と一言だけ言ってインターホンを切りました。そのあと私たちは最寄り駅である一ノ瀬駅に向かい、電車に乗って東翁学園の最寄り駅である紅葉駅で降りました。東翁学園は紅葉駅から約15分あるのですが、10分ぐらい歩いたあたりで、遥ちゃんが「あの人カッコよくない?」と言ってきました。私も遥ちゃんが見ている方に顔を向けてみると、とってもカッコいい男の子がいました。


「確かにかっこいいね!私、付き合ったことないけど、あんな格好良い他人と付き合いたいな...」

「私は告白されることはあっても、付き合ったことはないから分からないけど、あれで性格とか勉強が完璧だったら結構モテるだろうなぁ...」


そんな話をしていると、男の子はお友達だと思われる方と先に行ってしまいました。その後すぐに学校に着き、集合場所である体育館に向かうと、先程見かけた男の子たちの他に数人いるぐらいでした。


「まだ、8時18分だから全然人いないね?」

「ほんと全然いないね、入学式だから早く来てる人多くてもいいと思うのにね!」


そんな話をしながら、私たちは2人で隣の席に座って9時まで待つことにしました。

遥ちゃんと一緒に雑談をしていたら、いつの間にか9時ぐらいになってしまい、『もう空席は、ほとんどないなぁ』そんなことを考えていると...


「もうすぐ9時になります。新入生の皆さんは静かに座って待っていてください。もう間も無く入学式を始めたいと思います。」

といったアナウンスが流れました。


「もうすぐ始まるね遥ちゃん!」

「そうね、でも私的にはクラスがどんな感じになるかそっちが気になっちゃうかな?」

「一緒のクラスだといいね」

私たちがそんな会話をしていると...

「開式のことば。これより、東翁学園高等学校入学式を始めます。」

こうして私の高校生活初日の行事である入学式が始まりました。

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俺(私)の話 〜カレカノの関係になるまで〜 ルイ・エルザ @naritoshi0920

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