第2話「愛麗絲」
夜沢が地下に入れられてから、三日目になる
地下に入れられてる間は別に働かされる事もなく、拷問される事もなく一日目が過ぎた。
夜沢はここから出るためにはどうするか話し合った
「とりあえずここについてなにか知ってることはあるか?教えてくれよ」
「その前にあなたは死刑?終身刑?」
「終身刑」
「やっぱり、私もそうなんだ」
「二人とも同じか」
「死刑は大体3日くらいで決行する」
「早くないか?」
「うん、でもなんでこんなに早いかは知らない」
「そうか」
そこから間髪を入れずに伊丙が言う
「でも良かった、死刑なら時間がなかったから」
「なんでわかんだ?そんな事」
少し間を開けてから
「死の音がするから、それと処刑場に行く人は虚ろな目をするから」
「死の音?悲鳴とかか?」
「違う、なんかザザーッザーッって砂嵐みたいな音がするから」
「…?」
「とりあえず、ここから出る方法とか教えろよ」
すると、伊丙は警備員の方に指差して小声で言った。
「ここの警備員は、よく居眠りをする」
「じゃあ寝てるスキに鍵をとるのか?」
「それじゃだめ、すぐにバレる」
「じゃあどうするんだ?」
「寝てるスキに上から逃げるの」
伊丙が上を見上げるとそこには大きい通風孔があった。
「あそこに通風孔があるからそれを通っていく.けれど私は行けない、届かないから」
「じゃあ俺があそこに行けばいいのか」
「そう、それから私を上に引っ張って」
「わかった」
「上に引っ張った先はどうすればいい?」
「そこからは上の方に行って」
「了解」
「決行は翌日ね」
「おう」
作戦会議から少し時間が経ったあと
「あぁ、言い忘れたけどよ」
「うん」
すると夜沢が警備員の方を確認し、警備員に対して背を向けるように立ち、背中のポケットから小さい棒を取り出し
「見ろよこれ!」
「それ何?」
「これは警棒っていうんだ、昔に追われた時にこっそりくすねたんだよ」
そう言うと彼は小さい棒を振り、そして長く伸びた
「そうなんだ、それも何かに使えそう」
「だな」
「とりあえず明日は体力を使うから休もう」
「おぅ、おやすみ」
「おやすみ」
そして翌日
「よし、警備員は寝てるぞ」
「実行だね」
「よいしょー」
天井2mあるが、ここは夜沢の身体能力が活躍する。
バキンと音がするが警備員は起きない。
「大丈夫か?」
「うん」
夜沢が通風孔に入り伊丙へと手を差し伸べたとき
「あっ!」
警備員が起きてしまった!
しまった!と二人は思ったが、警備員はブザーのような物を押すわけでもなく、
「愛麗絲、240と238だ」
そう言うと警備員はまた寝た
夜沢が心配そうに
「大丈夫か?」と聞くと
「多分…」と答えた
「さっさと行こうぜ」
無事に通風孔へと入れた、夜沢は伊丙のあとに続く。
伊丙はスカートを履いていたので、夜沢は少し目を背けながら上の階へついた。
狭い通風孔から抜け出たとき時、一人の人影が見えた。
「
「それにしてもあいつブザー鳴らしたくないからってこんな事を…」
そこにいる20代くらいの中国人風女性はそうつぶやいき、二人のもとへ素手で襲いかかった。
「お前ぇ誰だ!」
「私は
「はは!止めてみろよぉ!」
夜沢は愛麗絲に襲いかかったが返り討ちにあい、そこから一気に夜沢は押されていく
「ッッウ!?」
「夜沢!ただ攻撃するだけじゃダメ!恐らくは彼女は幼少期に台湾から日本に来た者で素手の組み手の英才教育を受けた人だから、生半可な攻撃は通じない!相手のスキを狙うの!」
「そんな事言ったって、スキがないんだよ!」
「とりあえず今は避けて!」
「ああ!」
「くっ、なかなか強いなーあんたぁ」
夜沢の声に対し愛麗絲は反応しない
「(心理戦はきかねぇか)」
しばらく経った後
「(ほんの少しだが疲れが見えてきた、こちらからも仕掛けるか、攻撃が当たるかどうかだが…)」
すると夜沢は足で蹴り反撃をくらわせる
防御されたが予想以上に強かったのだろう、少しよろけてそのスキを狙い思いっきり殴りに入ったが、やはりかわされた。
「(まだ警棒を使うのには早いな…)」
夜沢は向こうの攻撃を避けていく内にあることに気が付いた、
「(攻撃が僕から見て左側に頼ってるな、あいつの顔をよく見ると向こうから見て左側の目の色に多少異変ある、これを使えば…!)」
そして夜沢は左側に攻撃し、その後右に攻撃して。
「たぁぁぁー!」
思い切り警棒を左側に振りかざした
「!?」
愛麗絲は警棒を使われる事は想定外だったらしく思わず倒れそうになり、夜沢に思いっ切り蹴り飛ばされた。
愛麗絲はその場から動かなくなった
夜沢は慌てて愛麗絲の安否を確認した。
確認すると青ざめた顔で蘇生処置をし始めた。
「何してるの!?」
「俺はな、人に暴力をすることはあっても、親父みたいに人殺しにはなりたくないんだよぉ!」
すると夜沢の懸命な蘇生処置により愛麗絲は息を吹きかえし、蘇生した。
すると愛麗絲は
「なぜ殺さなかった…」
と聞き、それに対して夜沢は
「俺は親父みたいに人殺しにはなりたくねぇんだ」
それに対し愛麗絲は
「変わったやつだ…」
と次の言い階段への鍵を渡された
「ありがとよ、さぁ行こうぜ」
二人は階段へ向かった
愛麗絲は二人が見えなくなったのを見て、
「好(ハオ)」
とかすかにつぶやいた。
死神の卵と白い堕天使 心動柊 @Another13
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