千日旱

 桟橋舞台に双子のしかばねが折り重なっている。

 片方が片方を殺し、それを城の兵が殺した。

 二人の血は広場を埋め尽くし、そこから得体の知れぬ不気味な生き物が湧き出した。

 雨花娘イェールカを殺した娘の涙は糸のように天にのぼって雲という雲を縫い寄せ集め、どこかへ運び去ってしまった。


 ここから千日のひでりが始まることを、人々はまだ知らない。





〈了〉

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弔歌の子 鍋島小骨 @alphecca_

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