サイバー・オリンピック

なみかわ

サイバー・オリンピック

 銀河歴202020年、今回も全世界・全宇宙から、宇宙一の覇者、はたまた宇宙記録の更新をめざして、「100メートル走」が行われます。はるか昔銀河系惑星地球にて行われた「100メートル走」は、今日こんにちでも人気種目であります。

 今回の主会場は、地球・アジア地域は日本--日本人が10秒の壁をまったくので破ったのは西暦の2020年頃だったそうです。

 現場での当日のテロ攻撃を避けるため、詳細な開催場所の緯度経度は非公開ではありますが--日本のとある場所に、地球地域代表選手、しかもが走るために、100メートルのストレート・コースが建設されました。

 バーチャル枠としては、各世界・全宇宙からサポート有・eスポーツ枠・サポート無し枠で、予選タイム10秒を切った700名あまりがエントリーしております。最新のエントリー選手につきましては、お手元のアプリでご確認ください。つい先ほども、サポート有のNo.84の選手は、遺伝子編集範囲の違反が判明したため、出場を取り消されました。


 スタートの号砲までまだ少々時間がありますので、私から何名か、注目の選手をご紹介させていただきます。あ、気に入らない人は適当にサブチャンネルでほかの競技をご覧いただければと思います。

 サポート有のNo.314は、円周率を分析することにより、人智を超えた記録を生み出せるのではないかというコンセプトのもと、スーパー量子コンピュータを投入し、前回大会からさらに8000兆桁の解析をすすめたということです。ランナーにはスタート直前まで円周率データが入力され続けております。

 また、サポート有のNo.256は、バーチャル参加時の遅延処理をおさえるために、古くから用いられているOSI階層モデル自体を独自に再構築し、高速ネットワーク網を敷設しました。ただし、今回の会場への接続プロトコルへの変換で、処理時間がかかっているとのことで、どこまで効果が出ているかは未知数です。

 eスポーツ枠からもご紹介しましょう。毎回我々を楽しませてくれるNo.573、こちらはいにしえの地球で使われていたという、センサー付きマットを高速で足踏みすることで走力を算出するとのことです。


 さて、準備が整ってきたようです。サブチャンネルをご覧の方にはワイプでコールさせていただきます。そろそろ切り替えてくださいね。

 今回ひさびさに重力のある地上走コースが主会場であるため、パフォーマンスとして単発式紙火薬銃でスタートの合図を打つことになりました。もちろん時刻は宇宙共通時刻の20:00となっておりますので、ご安心ください。

 現地の天候は--そうですね天候設備のないところにお住いの方もいらっしゃいますが--いわゆる「晴れ」、風もほぼ無く、「ウンドウカイビヨリ」だそうです。これは私のご先祖がつぶやいていたらしく、今や何を言っているのか、グーグル・アーカイブで検索しても出てきませんでした。でも、語呂がいいのでいいとしましょう。

 皆さまそれぞれマルチアングルで、お好きな選手の画像をご覧になられていることでしょう。私のアングルはもちろん主会場です。日本という国のとある場所、周囲は舗装やバイオ構築は行われていないということです。100m直線トラックが1本あり、スタートとゴールに臨時的に、情報送信用のサーバラックが建てられております。この地域はハザードもありませんから、いわゆるランニング・シャツとランニング・パンツ、スニーカーを着用しております。


 それではみなさん、思い思いの場所で、世紀の祭典のメインイベントをお楽しみください。

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