ガラスのリンゴ

　コンビニを訪れた男・ヒバリは、自分の靴や裾に血痕が付着していたことに気付く。
　元刑事としての勘から元来た道を引き返すと、腕から血を流し、ずぶ濡れのまま佇む若者と遭遇した。
　交番に連れていくも、なぜかヒバリの腕を掴む若者にヒバリは尋ねる。

「てめぇがしたいことを行動で示すのはいいが、状況を考えろ。お前は何がしたいんだ」
「ヒバリさん、の、家に、行きたい、です」

　若者の保護と看病を引き受けたヒバリと、「カラス」と名乗る若者＝女性の、雨の夜の話。

（『雨夜アンソロジー』寄稿作品／公開：2017.05.27）