毛布をかけて泣かせてあげてね

加瀬に好きだと告げられて10年。二日酔いにジェットコースターみたいな浮遊感に襲われ眉をしかめると幼い加瀬がいた。きっとタイムリープみたいなことをもう何度もやっているが、どの加瀬もついにはどうしようもなくなってしまうのだ。

惰性と同情と決めあぐねる様と…――金曜日にふらふらしている先輩と肉じゃがをつくって金曜ロードショウを見て縋っている加瀬のお話。


登場人物
先輩（藤野 ナツ）…25歳デザイナー。住所不定、加瀬の家に借りぐらしをしている。だいたいいつもどこかのバーにいる。出身は関西。昔親友の橘のことが大好きだった。
加瀬（加瀬 真奈美）…24歳作曲家。パソコンでの打ち込みの音楽をクライアントに提供していたり動画投稿サイトにアップしている。藤野と橘とは中学時代バドミントン部での後輩にあたる…続きを読む