最終話 2021年2月1日時点で、カクヨムのユーザーってどれくらいいるの?

(注意)本作のデータは全て2021年1月31日から2月1日にかけて取得されたものです。


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「あ、これは『生態』の新しい研究ノートね。 ……え? え!? えぇーっ!! 最終話!?」


 俺――研究所主任研究員マッドサイエンティスト草薙くさなぎタケルが用意した最新の研究ノートを広げた研究助手アシスタントとう景子けいこが、大声を上げた。


 そうなのだ。本作はこのエピソードを持って完結する。これは冗談ではない。


「うん。残念ながら、な。この研究ノートは終わらせることにしたよ。いや、終わりにと言った方が正しいな」

「どうして? なんで? まだまだいっぱいデータがあるんじゃなかったの!?」

「この研究ノートは終わらせろと言う、所長命令だ」

「そんな……」

「俺も残念だよ。こんな形で終わりたくはなかった」

「私達はどうなっちゃうの?」

「その話は一旦置いておいて、まずは本題へ入ろう。今日はこの研究ノートの終わりにふさわしいデータを用意した。ずばり、最後のテーマはこれだ」


 2021年2月1日時点で、カクヨムのユーザーってどれくらいいるの?


「この作品――『カクヨムユーザーの生態~111,402人分のデータを分析してみた』が公開されてからもうすぐ 1 年。カクヨムがどれくらい大きくなったのか、確かに気になるわね」

「そうだな。そして、データを分析する側の技術も大きく向上した。

 本作のデータは、いつもエピソードの冒頭にも書いてある通り全て2020年2月21日までに収集されたものだ。すなわち、その時点で集めることが出来たアカウントの数が111,402ユーザー分だった訳だ。

 そのデータを元に第2話『111,402人って、カクヨムの全ユーザー数なの?』で推定した2020年2月21日時点の全ユーザー数は379,069人、実際に検出できたユーザー数111,402人との割合は29.40%だった。この数字を記憶にとどめておいて欲しい」

「分かったわ。

 ところで、さっきタケル君は技術が向上したって言ったけど、どういうことなの?」

「まず、小説のデータを取得できるようになったことが挙げられる。これによって、いつ誰がどの小説に星を付けたかなどのデータを取得できるようになった。この作品を公開した頃はユーザーのデータだけを取得していたため、これは大きな進歩だった」

「ふむふむ、他にもあるの?」

「ユーザー側の取得データにも改良を加えた。今までは小説のフォローや星を付けた作品に関してはその数だけしか記録してなかったが、今は全て作品単位で記録している。また、自己紹介欄や近況ニュースの本文なども取得することで、将来的には自然言語処理を使った解析も可能にしてあるぞ」

「……かなりやりすぎな気もするけど、タケル君らしいわ」

「さて、この作品ではユーザーのフォロー・フォロワー関係を利用して新しいユーザーを発見していた。しかし、そこには限界があった」

「限界?」

「全くフォローしていない、されていないユーザーは見つけることが出来ないんだ。しかも、そういったユーザーのほとんどは『読み専』と推測される。

 俺のような『書き手』が本当に知りたいと思ってるのは『読み専』の動向。長らくこの問題は解決出来ていなかったんだ」

「うーん、『読み専』の私は何人かフォローされてるから数に含まれてたんだろうけど、全くフォローしてないユーザーとか多いかもね」

「しかし、この問題は小説のデータを利用することで解決出来ることが分かった。

 小説のデータには誰がどんな小説をフォローしているか、応援ボタンを押したか、レビューを付けたかが等が記録されている。

 つまり、少なくとも 1 回以上何らかのアクションをユーザーがしていれば、どんなに非活動的なユーザーであっても検知出来るんだ!」

「アクティビティって、何が含まれるの?」

「自分の小説を公開する、を付ける、応援ボタンを押す、小説のエピソードにコメントする、小説をフォローする、ユーザーをフォローする、近況ノートを書く、近況ノートにコメントする――だ。いずれかの行為を 1 回以上行っている全てのユーザーのデータを取得した」

「カクヨムで出来るほとんど全部の機能じゃない!」

「その通りだ。だから、検知出来ないユーザーと言うのは本当に『ただ登録しただけ』の場合のみとなる」

「それはすごい!」

「ユーザーデータを収集した時期は2021年1月31日から2月1日だ。と言うことでお待たせしたな。集めたユーザー数はこうなった!」


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 統計情報:ユニークユーザー数(2021年2月1日)

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 441,326ユーザー

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「ぶはっ! 44万人!?」

「いやー、この数字を見たときは正直ガッツポーズをしたね。それと同時に、この作品のタイトルが完全に陳腐化したことを思い知らされたよ」

「なるほどなー……。これはこの作品の存在意義が完全に揺らぐわね」

「さて、ちょっと前に2020年2月21日時点の全ユーザー数の推定値が379,069人で、実際に検出できたユーザー数111,402人との割合は29.40%だったと言う話をした。この数字との比較をしてみよう」

「明らかに爆上がりしてる予感」

「ユーザーがいつ登録したかがデータには含まれているので、それに従って日付毎のユーザー数の推移を調べた。その結果を下の表に示すぞ」


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 統計情報:2020年2月21日におけるユニークユーザー数

 比較:2020年2月21日に取得したデータ vs 2021年2月1日に取得したデータ

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 推定値:379,069ユーザー

 2020年2月21日に取得したデータで計算:111,402ユーザー (29.40%)

 2021年2月1日に取得したデータで計算:321,293ユーザー (84.76%)

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「以前の 3 倍近く! すごい……これはすごい……!」

「言うまでもないかもしれないが、増えたユーザーはほとんど『読み専』アカウントだ。もちろん、以前は『読み専』だったけど小説を書き始めたという人はいるだろうけど」

「このデータを使えば、より実態に即した分析が出来そうね」



「さて、今のは推定値との比較だったが、今度は真値との比較をしよう」

「え、本当の値が分かってるの? そんなデータがあるんだったら早く言ってよね!」

「と言っても、ピンポイントの 1 だけなんだが。それは、2020年5月27日だ」

「何があったの?」

「その答えも含めて、結果を見てくれ」


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 統計情報:ユニークユーザー数

 比較:2020年5月27日の公式発表 vs 2021年2月1日に取得したデータ

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 真値:500,000ユーザー (100.00%)

 2021年2月1日に取得したデータで計算:358,818ユーザー (71.76%)

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 ソース:『カクヨムの登録会員数が50万人を突破しました』

 https://kakuyomu.jp/info/entry/kakuyomu_user_500000

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「なるほど、50万人を突破したと公式にアナウンスがあった日なのね!」

「その通りだ。この日は多少の誤差があるとしても無視できる範囲だ。比較するにはもってこいって訳」

「推定値の時と比べると割合はちょっと減ったかー。残念」

「まぁ、退会したユーザーは検知出来ないし、そもそも推定がやや下方気味だったという事だろう」

「でも、70%もあれば、全体の傾向を掴むには十分よね!」

「もちろんだ」




「タケル君、本当にこれが最終回なの? エイプリルフールの冗談とかじゃないの?」

「終わりだ。この研究ノートはこれでおしまい」

「データが更新されたなら、それに合わせて改稿すればいいじゃない。私達がお払い箱になる理由は無いと思う!」

「うん、確かにその通りなんだけどね。所長が言うには――」


 なんで小説とユーザーを作品で分けてるの? 別に分けなくてもいいよね。って言うか、分ける方が弊害多いと思わない? 常識的に考えて。両方のデータを横断的に使った分析をしたときにどっちで発表するの? 統一してた方が良いに決まってるよね。どっちもカクヨムの『真実』なんだから。


 じゃ、タケル君。後はよろしく。


「――だそうだ」

「まぁ、言ってることには一理ある」

「全部投げられた俺の身にもなってくれ……」

「と言うことは、『カクヨム総合研究所』の活動はまだ続くのね? 私達はリストラされたんじゃ無いのね?」

「うん、そう言うこと」

「良かったー! また一緒にタケル君と遊べ――ごほん、研究できるのねっ!」

「今ちらっと本音が出た気もするが」

「気のせいよ、気のせい」




「最後は丁寧にいこう、ケイコちゃん――と言う訳で、今まで『カクヨムユーザーの生態~111,402人分のデータを分析してみた』にお付き合い下さいまして、誠にありがとう御座いました」

「この作品を読んで、皆さんはどう思われたでしょうか? 私と同じように難しいなぁと思った方も、タケル君みたいに全部理解できた方も、この作品読んで驚きと発見があったならこれほど嬉しいことはありません」

「本作品はここで完結となりますが、『カクヨム総合研究所』はまだまだ活動を続けてまいります。本作品の内容は、データをアップデートした上で以下の作品に移植される予定です」


『カクヨムの真実~215,590作品と441,326ユーザーのデータから本性を暴き出す』(現タイトル:『カクヨム小説の真実~215,590作品のデータから本性を暴き出す』、改題予定)

 https://kakuyomu.jp/works/1177354055450204744


「移植する際、同じ文章とか使い回すかも知れません。もちろん、同一人物による作品なので盗作ではありません。お間違えの無きようお願いいたします」

「それじゃぁ、新しい研究ノートでまた会いましょうね――ケイコとの約束よ! 絶対だからね!」



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 研究ノート総括

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 ・カクヨムのユーザーについて、ネットワークに注目した分析を実施

 ・カクヨムにはたくさんの『読み専』が存在することや、ネットワーク外部性により『異世界ファンタジー』に人気が集中していることを明らかにした

 ・この研究ノートはこれで終了となるが、その実は『真実』と併合するだけ――ここからが本番だ!!This is JUST the beginning !!

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カクヨムユーザーの生態~111,402人分のデータを分析してみた 草薙 健(タケル) @takerukusanagi

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