考察する者ー2

 榎谷は、次の題材として、今回のゾンビ事件を取り上げようと考えていた。しかし、今回のこれは余りにも情報が少なく、しかも謎が多かった。


 これは生物兵器なのか。だとしたら、どこの国が研究し、漏洩してしまったのか。あるいは自然発生なのか。だとしたらその原因はなんなのか。


 一番の謎は、ゾンビが特定の人物しか襲わない事だ。まるでマンガじゃないかと思った。一般的に知られるゾンビをはじめとするバケモノは、基本相手を選ばない。そこでこれは、どこかの国の権力者が、世界を牛耳るために?とも考えたが、それにしては全世界に蔓延はびこりすぎている。


 どこかの国の権力者がこれを兵器として使用したのだとしたら、その国にはゾンビなど現れないはずだ。しかし、ゾンビの発見例のない国と言えば、一部の権力や国益など無縁な地域だけだった。


 とにかく情報が足りない。


 榎谷は少しでも情報を得るために、明日神尾と会う約束をしている。神尾自身も情報が少ないと言ってはいたが、それでも何かしら掴んでいるようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Unnatural selection 井湧敬一 @kiritokeiichi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る