報告書 イヌコ

『出会った種族について』


〇リップサービス

 彼らは巨大な貝である。その顔の全ては唇であり、種族名の由来にもなっている。

 この惑星に来たリップサービスは二枚貝と巻貝の二人。

 リップサービスには性別は無く、二人いれば増える事は可能らしい。

 リップサービスの体から出る粘液は水で洗ったくらいでは落ちない。完全に落とすには植物石鹸とお湯が有効。

 行動は遅く、水がないと干乾びる。主な食べ物は野菜だが、鶏肉は食べる事もあるらしい。

砂浜と水のある場所を住処にしており、現在は風の魔力の影響で意志を持って動く砂浜に暮らしている。


〇ミラー

 彼らは自分の姿と言うものを持たない種族で、他の姿を模して生きる。模していない時には空気のような存在であり、声や呼び合う名前だけで自分と他のミラーを区別する。

 酒豪であり、陽気。お祭り騒ぎや歌が好き。

 姿を借りた種族の食べ物を飲み食いできるが、彼ら自身は本来、飲食を必要としない。綺麗な空気が彼らの食べ物。

 魔法に対して順応度が高く、どの力の魔力でも容易く操る。

 この惑星に来たのは三十人。長の名前はフフヂ。


〇幸福鳥

 見た目は琉金というごく一般的な金魚。尾ひれに当たる部分が尾羽で、口の所から短く横長の嘴が生えている。鶏のような足があり、鱗に当たる部分は羽。

 そんな青い鳥だ。元の惑星では幸福を呼ぶと言われていたらしい。

 鳴き声は「ビョォォ」

 主な飲食物は木の実と温泉水。

 洞窟を住処にしており、その洞窟のある山ごと飛ばされて来た。



『行動報告』


 私たちは先ず、口だけお化けの調査に向かった。それはリップサービスであったのだが、そこで頼まれごとをする。

 住処にしようと考えた砂浜に追い出されたと言うのだ。それを魔力の影響と考えた私たちは、砂浜に向かい、風の魔力によって動けるようになった砂浜を見る。

 その砂浜は手の形を作って意思の疎通を図っていた。

 砂浜に風の魔力が溢れた原因は沖にあった魔力を増幅する物、魔力スポットであり、それはミラーたちの協力により解決済み。

 魔力スポットは他の生物が惑星に来た時のシェルターであったらしく、調査の為に持ち帰って来た。


 川沿いの道で、顔のある岩に遭遇した。

 それはニタッと不気味に笑う岩であり、自分の意思で転がる事ができるように思えた。

 ポンタが言うには生物としての反応はなく、魔力スポットでもない。偶然にも魔法で生み出された、自分で跳ねるアイスキャンディーやケタケタ笑うキノコに似ているらしい。

 よく見なければただの岩であり、気を付ける必要がある。


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宇宙災害時に役立つ、部長と新惑星生き抜きマニュアル 小林秀観 @k-hidemi

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