青天の霹靂

ヨーロッパの海に浮かぶ孤島に、アルキデア刑務所はある。
普通の刑務所では受け入れられない凶悪殺人犯だけを収監する刑務所。
脱出不可能な監獄として有名で、世間から切り離された場所だった。

そこで長い間、ユリウス・チェルノフは刑務官として働いていた。
故郷の青い空に思いを馳せながら、塀の中に閉じこもりただ日常をこなしていくだけだった。

しかし、ある男の存在がユリウスの人生を大きく変えようとしていた。
イヴァン・マイスキー。
32人を殺した罪で、死刑執行を待つ凶悪殺人犯だった。

「自由になりたいと思わねぇか」

男はユリウスにそう問いかけた。

「この檻を抜け出して、外の世界に行きたい」

男は人一倍、自由を望んでいた。
そして、ユリウスもまた自分の心の奥底に眠っていた感情を思い出す。

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