エピローグ 田園

 二階の窓から見える隣の空き地には黄色い絨毯じゅうたんが広がっている。


 そのタンポポの群生達もやがて自分達の種を次の地へと潮風に任せるのだろう。


 今までの自分の転戦をタンポポに重ねて、暫し感傷にふけっていました。



「結城さん、もうアガっていいわよ」

 師長の言葉で、慌ただしいが幸せすぎる現実の世界に引き戻された。


「お先に失礼します」

 と言ってを後にして黄色い軽自動車を走らせる。


 いつも通り5分で保育園に着いた。

 その園の玄関の戸を開けると三歳になったばかりの奏苗かなえ先生が待っていた。


 陽菜ちゃんは私達家族より一年先輩の、の住人でした。


「ママ、はやくかえろ」と長女にせかされる。


 陽菜先生からは、

「奏苗ちゃん、今日はとってもお利口さんでしたよ」

 と報告を受けた。


 すると奏苗は

「ママ、かなえね、きょうひなちゃんせんせいにおこられたよ」

 と反してきた。


 すると陽菜ちゃん先生から帰り際に、

「お姉ちゃん、今度の週末に田植えの手伝いに行くから」

 と労働アポで帳消しにする処置を取られた。



 * * * * * 



 私は無事看護師になり、白衣の天使として世に貢献しています。

 大学卒業後は、大学の付属病院で少し修行を積んでいましたが、この春から漣の田舎の病院に勤め始めました。


 師長さんはお姉さんの親友でもある喜美さんのお姉さん、院長先生は喜美さんのお父さんです。


 漣はというと、今年早々に本社転勤の内示が出て、ずいぶん悩んでいました。


 勿論私にも相談されましたが、

「私は、何処までも漣に付いて行きます、ただそれだけです」

「だから、漣の思うように生きてください」

 それだけを言いました。


 そして漣は決心しました。

 お父さんが、この冬の除雪で持病の腰を悪化させたのも引き金になったようです。




 * * * * * 




 私と奏苗の乗った軽自動車が家に到着しました。

 家の隣では、夏ごろ完成する二世帯で住む新しい家の工事が始まっています。 


 奏苗は見つけたようです。

「あっ、パパがたんぼからかえってきた」


 トラクターに乗ったツナギ姿の漣が、超笑顔で田んぼの方からこちらへ向かって来ます。

 後ろの軽トラのお父さんも笑顔です。


 漣は大きく手を降りながら奏苗に何か言ってる様ですが、トラクターの騒音で口だけが動いて見えます。


 それから四人揃って家に入りました。


「『ただいま!』」と大合唱です。


 すると、奥に居たお母さんが人差し指を立てながら慌てて四人の方に駆け寄って来ます。


「しーーー」 

「やっと寝たのよ」

「漣の小さい頃とおんなじ!手がかかるよ、そうは」

 と笑顔で話す。


 奏苗の弟の世話をして、まんざらでもないお母さんが目の前にいます。



 ほのぼのとした田園風景の中、ほのぼのとした六人家族の生活が始まっています。


 今晩も、水田を舞台とした蛙の大合唱の音楽会を聞きながら、幸せな睡眠を六人で味わう事でしょう。




               ――おわり――





あとがき



 最初は仙台を中心にしたラヴストーリーを考えて書き出したこの作品ですが、まさか最後は北海道で終わるとは、自分でも驚いています。


文字数も、10万文字を目指していましたが、7万文字くらいになったのも少し残念です。

処女作である前作が5万文字だったので、まあ少しは進歩したのかもしれません。


フォロー数とPV数も前作を上回ったのが嬉しかったです。


でも、相変わらず文章が下手過ぎで、句読点の使い方も悪いです。

登場人物の名前をダブらしてしまう失態も有りました。

後になって、つじつまを合わせる為にプロローグを入れたり、

反省は多々あります。


それでも、最後まで読んで頂いた読者さんには、感謝いたしております。

ありがとうございました。


また投稿できる日が来たら、読んで頂けると幸いです。

その時はどうぞよろしくお願いします。

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其々の~絶望からの脱出~そして 賭夢 @wasa58min78

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