【13-6】浮薄 下
【第13章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700429616993855
【地図】ヴァナヘイム国
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16816927859849819644
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エドラ城塞の城門に掲げられた戦旗「咆哮する狼」は、ポールに絡みつくようにしてすぼんでいる。
ミュルクヴィズへの斥候派遣を見届けたアルベルト=ミーミルは、総司令官に割り当てられた部屋に1人入った。途中、彼宛の通信筒を副官から受け取りながら。
ミーミルはデスクに座ると、脇に積まれたいくつかの古新聞を手に取る。10月15日付の紙面には、「帝国を国外に叩き出せ」という勇ましい文字が並んでいた。
新聞報道では、審議会の流れは帝国との講和妥結の流れに傾いていたはずだった。ところが、軍務尚書の劇的な登場により、その方針は覆った。
【12-29】四輪車 下
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民衆の不平不満を一身に浴びながら、講和論を提唱・推進してきた軍務省次官・ケント=クヴァシルは、往来で撃たれたという。どの新聞でも、「自業自得だ」と言わんばかりの社説が目立つ。
【12-32】花びら ③
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新聞を戻すと、ミーミルはデスクの引き出しから、過日届いた軍用通信筒を取り出した。
なかには、何度となく目を通した軍務次官からの手紙が納まっているが、ミーミルは無性にそれを読み返したくなったからだった。
右に少しだけ跳ねるような筆致で、ヴァナヘイム国・騎翔隊による後方
【12-27】正義の弾丸
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700428118950770
最後に、彼は先ほど副官から受け取った通信筒を取り出した。
送り主は、軍務次官行きつけのバー・スヴァンプの女主人・レリル=ボーデンだった。ミーミルも次官と共にこのお店には足繫く通っていた。
電報ではなく速達で送られてきた手書きの文面には、新聞には記されていない事件当日の様子から
「……」
ミーミルは読み終えた便箋を傍らに置くと、天井を仰ぎ両目を閉じた。
「なんとか引き分け手前まで、もっていってくれねぇか」
「帝国と少しでも有利な条件で、講和を結んでみせる」
紫煙をくゆらす、クヴァシルのひょろりとした後姿が、彼の
***
バー・スヴァンプの店内――複数のテーブルをつなげた即席ベッドには、意識を失った壮年の男が横たわっている。
伸び放題の頭髪と無精
前ボタンが開かれた先からは、未だ鮮血がとめどなく流れ出ている。シーツ替わりに敷いたテーブルクロスも、あっという間に朱に支配されていく。
軍務次官が凶弾に倒れたという一報は、肉屋の旦那からバー・スヴァンプにもたらされた。店への納品の道すがら、たまたま現場を目撃したとのことだった――黒ずくめの連中に囲まれた後、次官が膝から崩れ落ちたのを。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
戦場に取り残されてしまったミーミルの胸中はいかばかりか、心配な方、
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ミーミルたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「女城主・レリル=ボーデン 上」お楽しみに。
「――!」
往来に倒れ込んだこやつを見て、あたしは柄にもなく動揺しちまった。
異常な脈打ちとともに、頭のなかが白くなる。
「ママッ」
「しっかりしてください!」
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