【10-7】 部隊運動訓練 下
【第10章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700429411600845
【地図】ヴァナヘイム国
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16816927859849819644
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帝国暦383年7月、日の出前から日没過ぎまで、ヴァナヘイム国将兵の喚声やら
峡谷は、猛り狂う陽光を遮り、帝国からの暴風雨のような砲弾を跳ね除けてくれる。おまけに飲み水がすぐに手に入ることなど、谷底にいるメリットははかり知れない。
しかし、猛訓練に沈む将兵は疲労困憊であり、水を喉の先に流し込むことすら
腕立て伏せから走り込み、
ミーミル流練兵は、体力はもちろんのこと、思考力も極限まで求められたのである。
1日の訓練が終わると、将校・下士官・兵卒関わりなく、皆その場にへたり込んでしまい、会話を交わす気力もないようだった。そのままイビキをかいて眠り込んでしまう者も後を絶たなかった。
そうした折、あれほど総司令官に反発していたオーズ中将・ブリリオート少将等、精鋭各隊も続々と谷底入りした。
【8-13】転用 下
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彼等の加入により、練兵場の息苦しさに磨きがかかったことはもちろん、
【6-19】足蹴 下 《第6章 終》
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816927861474569092
満を持して、ヴァナヘイム軍は、ケルムト渓谷から打って出た。
7月20日早朝からの攻撃によって、帝国軍右翼は潰滅したと言っていい。
谷底での猛訓練の効果はてきめんだった。
ヴァナヘイム軍の階段将校たちは、目の前で展開・推移する状況が信じられず、度々電話を通じて、戦況を確認し合っていた。
「なぁ、おい……何度も聞いてすまんが、俺たち」
「ああ、間違いない……俺たち」
「「……あの帝国軍に勝っちまった」」
最後の一言は、興奮のあまりハモってしまっている。
【8-14】小骨 上
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700427876430505
***
バー・スヴァンプ店内の
階段将校の2人は、杯を手にしたまま気持ちよさそうにテーブルに突っ伏している。
他の客は会計を済ませ、一組、また一組と店を後にしはじめていた。
さすがのミーミルも、酔いが回ってきており、油断すると意識を失いかねない。
「明日、オーズ夫人に会う際、これだけは気を付けろ……」
「はい……」
次官が何か大切なことを伝えようとしている――そうだった、明日は首飾りを返却しに行かなければ。
「そろそろ、店を閉めてもいいかい」
バー・スヴァンプの
クヴァシルは全員分の支払いを済ませていた。ミーミルは、自らと部下たちの分を支払おうと申し出るも、次官は受け取らなかった。その代わり、左右で熟睡する奴らを何とかしろ、と言う。
ママは、辻馬車も呼び寄せてくれていた。しかし、意識を失った階段将校たちを運び込むのは、男手3人――クヴァシル・ミーミル・御者――でも骨の折れる作業であった。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
ミーミル流訓練とその効果に興味を抱いてくださった方、
オーズ夫人はどのような人物か気になる方、
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階段将校たちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「大陸一の英傑 上」お楽しみに。
かつて、これほど人気を博したヴァナヘイム軍総司令官がいたでしょうか。
「あれ、ミーミルじゃないか」「ほら、あの馬車のなかだよ」と小突き合っているのだろう、こちらに向けて、指をさしはじめる。
「ミ、ミーミル閣下ッ!?」「本当だ、総司令官閣下だ!」
それら酔っ払いたちが酒杯を片手に、女性たちがカップを置いて、馬車を追いかけはじめた。気づきと驚きは、辻から辻へ伝播していく。
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