【11-18】無心 中
【第11章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16817139554817222605
【地図】ヴァナヘイム国
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16816927859849819644
【組織図】帝国東征軍(略図②)
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817139559095965554
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新式野砲80門に砲兵1個大隊――。
東都ダンダアクから、隣国へ踏み込むこと1,200キロ――帝国東部方面征討軍(東征軍)からの戦力追加要請が、東岸領統帥府に届いている。数多くの無電中継基地を経由して。
これまで東征軍から、兵馬や砲弾追加の
【2-3】利息
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伝統的に騎兵重視・砲兵軽視の帝国軍である。砲数もそうだが、大隊規模もの人数ともなると、さすがのオーラム家嫡男もやや骨が折れるようだ。
【2-2】騎兵と歩兵と砲兵と
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「あの
「アトロン将軍は、この度、参謀の人員を一新したそうです」
「ほう、老人は余の手紙で、ようやく己の
帝国宰相の嫡男は、たるんだ頬を心もちすぼめた。
「……して、後任は?」
「参謀長はアトロン大将が兼務、先任参謀に、セラ=レイス新任中佐……」
狐のような目をさらに細めて、
【11-10】朝の軍議に戻って 下
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「セラなんとかとは、誰だったかな」
「セラ=レイス。オウェル元参謀長の下で、先任参謀だった若者です」
ブリクリウは、起伏のない物言いで回答する。
それを聞いて、アルイルはでっぷりと肥えた体を、満足そうに椅子にしずめた。
ボタンにあしらわれた帝国獅子が抗議の咆哮をしそうなほど、その膨らんだ腹は軍服を押し上げている。
「序盤こそ、わが軍は破竹の勢い、向かうところ敵なしであったな……その時の参謀が、返り咲いたというわけか」
「……ご賢察のとおりでございます」
帝国宰相の嫡男は、脂肪だらけの頭皮の下に帝国勝勢だった頃の記憶を取り戻したようだ。
傅役は、あらかじめ温めておいた白磁のティーポットの蓋を開けた。ベリーク産の逸品であり、彼のお気に入りの茶器である。
そこへムルング産の高級茶葉を惜しげもなく入れ、熱湯を注ぐ。一連の動作に無駄がない。
香ばしい匂いがひろがり、主従の
「ずいぶんとまぁ遠回りをしたものだ。数千の将兵と一人娘を失って、ようやく重い腰を上げたというわけか。あの老人もいよいよ死期が近づいたかな」
アルイルは鼻で笑うと、老将からの通信文を手に取り、目を通しはじめた。
ブリクリウは、冷淡な色合いを帯びた瞳で、湯気越しに主人を
――死期が近いだと?
あの農夫は、くたばるどころか、現場の最高指揮官としての強権を発動したわけである。
だが、ブリクリウが現場に押し付けてきた参謀部員は、この4か月、ヴァナヘイム軍相手に後手に回り続けた。
とりわけ、先月の大敗以降は、新たな作戦に着手できぬほどの手詰まり状態にある。東岸領統帥府としても、現場の人事権を否定する要素が見つからないのだ。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
黒狐は、老将軍によって子分たちを追い払われ、さぞや面白くないことだろう、と思われた方、ぜひこちらからフォロー🔖や⭐️評価をお願いいたします
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レイスたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「無心 下 <第11章>」お楽しみに。
帝国軍の早朝会議・夜襲合戦・ソルの起床……カメラワークの忙しかった11章も最終話を迎えます。
「……この野砲と砲兵の大量発注も、老人の発案ではなく、その若造の入れ知恵かもしれんな」
アルイルが書状を読み返しながらつぶやく。
――ほう、今日はラードの勘が冴えている。
ブリクリウは、香気たち上るカップをソーサーに乗せて、アルイルの前に置いた。
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