【11-17】無心 上
【第11章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16817139554817222605
【地図】ヴァナヘイム国
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16816927859849819644
【組織図】帝国東征軍(略図②)
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817139559095965554
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ニアム=レクレナ少尉の失言により、部内の雰囲気が一時的に凍り付いたものの、美少女・ソル=ムンディル争奪論戦は再開していた。
【11-16】おばあちゃん 下
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16817139554818032251
そのレクレナによる、何だかよく分からない理屈での答弁は続いている。
「……とにかく、この
言い切ると同時に、女少尉は従卒姿の少女をかばうように抱きしめた。
少女の頭から、ややサイズ違いの軍帽が落ち、くすんだ赤髪が
レクレナの説得にもかかわらず、セラ=レイス新任中佐はテーブルの上にあぐらをかき、いっそう鋭さを増した視線を赤毛の少女に投げかけている。
上官の
これまで、上官のいささか合理的過ぎる方針にも従順だった部下たちが、少女の身を守るため、その上官と真っ向からぶつかろうとしている。
左
――これは、安心していいわね。
彼女は頬に当てていた右手を胸に下ろし、小さく吐息した。
やはり、上官は部下たちの覚悟の程を見定めたかったようだ。少なくとも彼らが
***
「なにいッ!新式野砲80門だとぅ!?」
帝国暦383年8月29日、戦場からはるか後方、東都ダンダアクは帝国東岸領統帥府――。
その最上階・上級大将執務室では、アルイル=オーラムが
「ええ、砲兵1個大隊とともに即座に派遣してほしいとのことです」
アルイルの幼少期からの
ヴァナヘイム国のイエロヴェリル平原ほどではないが、ダンダアクの夏もそれなりに暑い。
統帥府執務室の中央には巨大な氷柱が置かれ、壁面に埋め込まれた配管には冷水が流れるなど、室内は快適さが保たれている。
もっとも、体感気温については、主従揃って行って来いの関係でもある。
歩くラード――肥え太った上級大将は、存在そのものが暑苦しく、常に汗ばむお体には、近づくのもご免被りたい。
黒狐――瘦身の大将は、
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
レクレナとソル、本当は仲良しだったんだな、と思われた方、
東都のアルイル・ブリクリウ主従の登場は久々だな、と思われた方、
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レイスたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「無心 中」お楽しみに。
「あの老人め、これまで自己主張などしたことがなかったのが、急にどうしたのだ」
「アトロン将軍は、この度、参謀の人員を一新したそうです」
「ほう、老人は余の手紙で、ようやく己の
帝国宰相の嫡男は、たるんだ頬を心もちすぼめた。
「……して、後任は?」
「参謀長はアトロン大将が兼務、先任参謀に、セラ=レイス新任中佐……」
狐のような目をさらに細めて、傅役は手にした資料を読み上げた。
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