第15話 黒鉄哲人は膝枕の夢をみるか
ここは城塞都市トルガルドの組合ギルド支部
時間は夜の10時くらいだろうか
この世界の時計である 時間石クロックストーン
の色で判断できる 太陽の位置が高ければ高いほど純粋な赤色になっていき 夜になれば青色に変化していく
さて夜10時 ベルガルドとの死闘から既に10時間は経過している 当然お腹は空く ましてやあの怪我をこんな短時間で治してしまった以上 体力も使う
ここで話は変わるがメインヒロインの手料理と聞けば何を思い浮かべるだろう
やはり失敗するパターンである暗黒物質ダークマター?劇毒ポイズン?
しかし
憧れを抱く人も少なくないのではないのだろうか
まして今からその手料理を食す黒鉄哲人は尚更だろう
中二病でありアニメの世界から出てきたような美貌をもつフィルに惚れている哲人である
そのフィルが作った手料理なら例え岩を破壊するTNT爆弾が入っていようが鉄を溶かす硫酸が入っていようが喜んで食べるだろう
しかし・・・・・黒鉄哲人の手は止まっていた
再度言う この平凡なる少年黒鉄哲人は例え爆弾が入っていようがフィルの手料理なら笑顔で食べる漢だ
ご理解いただけるだろうか その漢の手が止まっているのだ・・・
「・・・・・・・・・・・」
その後ろで必死に笑いをこらえている 女が一人 今は組合ギルドの制服をきているポニーテールと眼鏡の美女 皇室親衛隊のガブリエルである
そんなことはどうでもいいといわんばかりに哲人は困惑していた
まずは冷静に一つ一ついこう
まず具材 こっちの世界でなんというかしらんが
ジャガイモ ネギ ニンジン 卵 こんなところだ一般てきだろう
次に匂いは まぁ悪くない それになんかどこかで嗅いだことがあるような・・・
そして見た目 正直これが一番まずい思う どう表現しようかこれは
紫?黒?緑?を混ぜ切らないまでまぜたような色だ・・・・
これだこのいろの影響で手が止まっている
「哲人・・・・」
そんな中 声をかけてきたのはこの料理を作ってくれた竜人ドラゴンニュート皇女プリンス
愛しの少女である
「その・・・無理して食べなくていいのじゃ わらわもあまり上手にできていないのじゃし」
その少女に あぁなんということか こんなことを言わせてしまった
必死で料理したのだろう 頑張ったのだろう きっと美味しいと言ってくれると信じて
その信頼にこたえるどころか 手すらつけない 全くこんなことでは・・・
「いやいや うまくできてるよ 何が入っているかきになっただけだから
では いただきます」
こんな色がなんだ 胃袋に入れば同じだ 意を決してスープを流し込む
瞬間
黒鉄哲人の意識はどこかに飛んで行った
ほどなくして哲人の意識は還ってきた
一度は天に召される可能性もあったがなんとか還ってきた
哲人は後頭部に尋常ではない至福の感触を感じた
なんならこのまま永遠に寝ていたいと思えるほどの感触
ゆっくりと目を開ける
ああ
このためにおれはあのスープを飲んのだ
そう確信できる
夢にまでみた
この展開
即ち 膝枕
しかし ああ なんたることか
愛しの少女の顔は罪悪感に染まっている
「哲人 起きたのか? その・・・わらわのせいで ごめんなさいなのじゃ」
「大丈夫だよ あのくらい どうってことないよ」
「しかし 哲人 気絶している間もうなされていたのじゃ」
「うん 大丈夫 ありがとう 大好きだよ」
人前であるが仕方ない てゆうかこんな状況で言わない方が無理だ
「う うむ なんなのじゃ その もう何回も言っておるのになれないのじゃ、、、いいやなれたくないのじゃ この胸の高鳴りは一生続いて欲しいのじゃ」
フィルが顔を赤くしながら 指をちょっとモジモジしながら こんな可愛いことを言ってくるなんて
「フィル、、、、、、」
「哲人、、、、、、」
自然と二人の顔も近づく それはSとNが引き合う磁石のように 自然に、、、、、
「おっほほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんんんんんんんん」
まぁ こうなる こんな大きな咳を出した張本人はやはりこの人
「えっとせめて私のいないところでお願いできますか?てゆうか哲人さんも殿下もこんな所でそんなことをしないくらいの常識は持ってください」
皇室親衛隊のガブリエルさんである
「もう夜も遅いので寝ましょうか 殿下」
その言葉にフィルは嬉しそうに
「その通りなのじゃ!ガブリエル しかし哲人は病人誰か看病しなくてはなんのじゃ!ということでわらわが哲人と一緒に寝るのじゃ だからお主も休むのじゃガブリエル」
そういうとフィルは哲人が寝ているベットに入り込もうとするが
「承知しました 殿下・・・・・なんていうと思いましか?」
ガブリエルさんに止められる
「なぜなのじゃ!寝るだけなのじゃ!なにもしないのじゃ!」
フィルが抗議している
「ダメです 帝国の皇族が男と一緒に寝るなど それに本当になにもしませんか?」
ガブリエルさんが詰め寄る
「うぅっ と 当然なのじゃ!いかがわしいことなど、、、、、」
おいおいフィルさん?!! おれは大歓迎だけど
断腸の思いで言うほかない
「フィル 気持ちは嬉しいけど ガブリエルさんにも立場はある 俺たちの関係を黙認してもらってるしここは従おうか」
本当に残念だけど仕方ない
「哲人 わらわがいなくともちゃんと寝れるか? 急に体が痛んだりしないか? 悪夢にうなされないか?」
「大丈夫だよ フィル 」
「本当に大丈夫か? 哲人お主は気づいていないと思うが相当うなされたおったぞ それにあの試験のときも顔も腕もぐちゃぐちゃで本当に怖かったのじゃ 哲人がわらわのもとからいなくなりそうで・・・・」
震える声が聞こえてきた その声色で伝わってくる不安
フィルの不安を取り除くには
両手を広げて
「おいで」
「うん」
抱きしめる
「フィル、、、ごめんね 心配ばっかりかけちゃって」
胸から少女の温もりが伝わってくる
「哲人が謝る必要はないのじゃ」
「うん でもごめんね そしてありがとう」
「うむ わらわもごめんなさいなのじゃ 傷ついているのは哲人なのに わらわが慰められて 弱くて、、、ごめんなさいなのじゃ」
「ううん 弱いのはフィルにこんな思いをさせてるおれだから もっと強くなれって!怒ってもいいんだよ?」
「それは言えないのじゃ哲人はやれることを最大限やっている そんなお主を怒ることなどできないのじゃ」
「うん ありがとう フィルそろそろ時間だ また明日ね」
「うむ また明日なのじゃ 」
最後にぎゅっと抱きしめ 離すできれば離したくなかった温もり
そのままフィルは部屋を出て行く きっとこのままいたらずっといちゃうからな
―――その声は僅かにも震えていなかった
「ご協力 感謝します 哲人さん」
「いえ 恋人として やるべきことをやっただけです」
「それでも 感謝します そして今 私がこのことを黙認しているのは あなたに対して言葉ではいい合わせないほど感謝しているからです」
「え? なんでですか?」
「それは簡単です 殿下が行方不明になった日 とてもよくしていただいたと」
「あぁ、、、あの日ですか」
「はい あの日以来 殿下はすっかり問題児です 城の外に抜け出すし イタズラもです 全くあの日が原因ですよ」
抗議の声を上げるガブリエルさんかだが
「ははは しかしそんな不満を言っているのにとても嬉しそうですね」
その声色には非難の色はありはしない
「当然です あの日以来殿下の笑顔がとても増えました 普通の女の子らしく笑顔が似合う殿下になりました 本当に感謝しても感謝しきれません 」
「やはり フィルはそれ以前は、、、」
「はい 神龍だともてはやされ扱いは神様そのものです 誰からも敬語で話され 誰もが見ているのは殿下ではなく神龍です 殿下本人を見ている者はいませんでした」
「本当に重たいものを背負って生きているのですね
フィルは、、、」
「えぇ しかしあの日以来殿下は変わられました 転移魔法を使えるようになって城から抜け出すようになりました そこで色々なものを見たのでしょう
本当に明るくなりました そして哲人さんそんなあなたにお願いがあります」
ガブリエルさんは真剣な瞳で
「殿下をこの街から一刻も早く帝都に返してください」
こんなお願いをしてきた
平凡な中二病少年は竜人皇女と結ばれたい ~愛しのあの子のために最強の軍神目指します〜 山田太朗丸 @taroumaru1941
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