第2話

 雨の音で目が覚める。

自分の部屋から出て居間に降りる。母親は朝食の準備をしてる。

「おはよう。昨日は寝られた?」と母親が声をかけてくる。

「ううん。」首を横に振る。

「朝食どうする?」また首を振る。

「そう、昨日のこともあるから早めに帰ってきてね。」母親は心配した様子で声をかける。

「うん。」母親が前に座る。母親の腕には昨日までなかった包帯が巻いてある。

「ねえ、お母さんその包帯どうしたの?」

「うん、ちょっとね。」流された。テレビではまだ暴動のニュースが流れている。

「怖いわねぇ、早く落ち着いてほしいわね。」母親が呟く。

そろそろ学校に行かなきゃ。私は準備を始めた。

 「おはよう。」美弥子が言う。

「おはよう…」どうしたのと聞いてくる。

「昨日ね、変な人に襲われたの。」彼女は目を見開いて身を乗り出して「大丈夫?!」と聞いてくる。ハハハ大丈夫だよと笑って返した。

「そう、ならいけど」と不服そうだけど納得してくれた。

SHR始めますよと先生が入ってくる。よかった日常だ。

学校は普通に終わって帰る準備をしてると、美弥子が帰るわよと声をかけてくる。

「え、でもまだ早いよ?それに委員会とかそういうの大丈夫?」

「大丈夫よ。それにくるなと言われてもついてくわよ!」と強い口調で言ってきた。

「ふふ、美弥子は優しいね。」と言うと顔を赤くして早く帰るわよとそっぽを向いてしまう。小さい背中が大きく見えた。

 たわいもない会話をしながら帰り道を歩く。いつもの交差点についても別れる感じがない。ねえと声をかけると家までついていくわと返された。悪いことしたなぁ明日なんか奢ってあげようと思いながら歩く。

 家に着く。

「ねえ今日泊まってかない?」

「え?でも悪いわよ。」静まり返る。

「ごめんね、変なこと言ったね」と目を伏せながら言う。

「わかったわよ。今日だけね。」

「ヤッター‼︎」と言いながら美弥子に抱きつく。ちょっ離れなさいと言いながら引き離そうとしてくる。幸せだなあ。

「そうと言った早く中に入ろう!」私は彼女を急かしながらドアを開けた。

ただいまー。いつもなら母親から返事が返ってくるが返ってこない。買い物行っちゃったのかなと思いながら、居間へのドアを開ける。すると中は強盗が入ったのかと言うほど荒れていた。 

どうしたの?と美弥子が後ろから覗き込んできた。何よコレと言い警察に通報するためかスマホを取り出した。

スタスタと足音がキッチンの方から聞こえてきた。

よく見るとそれは母親だった。フラフラと歩きながら近づいてくる母親に、「お母さんこれ何があったの?」と近づきながら聞く。すると歩いてきた母親がスッと顔を上げて゛ア゛ア゛アと言いながら襲いかかってきた。

「お母さん?」私は動けなかった。

すると美弥子がパッと私の手を取って「逃げるよ!」と強い口調で言いながら走り出す。

 もう何もわからなくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

死にゆくものに愛を 白井黒鳥(KS) @ksshousetulove

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ