わらって! おにいちゃん、おねえちゃん!
水嶋 穂太郎
第1話
わたしのなまえは、ささきあげはです。
小がく1ねん生です。
あげはにはおにいちゃんとおねえちゃんがいます。
ふたりはいつもけんかしています。
ころしてやる、とか言っています。
かなしいです。
おにいちゃんもおねえちゃんも、あげはのことでけんかをします。
ふたりともすごくおこります。
ふくを引っぱったり、ほっぺたをぱんぱんしたりします。
それを見ていると、あげははもっとはかなしくなります。
おにいちゃんもおねえちゃんもかんがえているんだとおもいます。
かんがえているのはあげはのことについてです。
* * *
あげははおにいちゃんとおねえちゃんとお外であそんでいました。
ぶあーーっとすごい音がしたのをおぼえています。
お空に引っぱられて、じめんに引っぱられて、あげははまっくらになりました。
気がついたときには、おとうさんとおかあさんがないていました。
おにいちゃんとおねえちゃんはろうかのいすでねていました。
白くておおきなたてもののなかはとってもしずかでした。
お外にでました。
どこまでもじゆうにとんでいけました。
お月さままでいってかえってきました。きれいでした。しゃべるうさぎさんたちがいっぱいでした。おにいちゃんとおねえちゃんにも見せてあげたい、とあげははいじわるになってみます。
おおきなたてものにもどって、おにいちゃんとおねえちゃんにおしえてあげようとしました。けれど、できませんでした。
なぜだろうとあげはは思って、月にいるうさぎさんにききにいきました。しんでいるからだよ、と言われてもよくわかりませんでした。
* * *
『しんでいる』がわかるまでに、うさぎさんたちにずいぶんとおしえられました。
きょうはおにいちゃんとおねえちゃんに『しんでいる』をつたえにきたのです。
ずっとわからなかったことをきょうこそつたえます。
へやでけんかをしているおにいちゃんとおねえちゃんに、こんばんはをします。
びっくりされました。
あげはもびっくりをうつされました。びっくり。
ふたりともあげはのことをずっと考えてくれていたようです。
いっぱい話しかけてくれました。
どっちがわるいかという話になって、あげははまたかなしくなりました。
あげはは、おにいちゃんもおねえちゃんもわるくないと言ってあげました。
『しんでいる』は、あげはにとってたいせつなことだったと思ったので。
あげはが『しんでいる』ことで、たいせつなふたりにふしぎなできごとをつたえられるからです。月のうさぎさんも、ふたりにはおしえたほうがいいと言っていたからきっとまちがいないです。
あげはは月のうさぎさんからおそわったことをふたりに話しました。
ふたりはなにも言わなくなりました。
けんかもなくなりました。
へやはしずかになりました。
あげはは、じゃあいくね、とおにいちゃんとおねえちゃんに言いました。
また会える? と聞かれたので、よばれれば、とこたえました。
あげははいま、月にあるおおきなおしろでうさぎさんたちと生きています。
とてもしあわせです。
おにいちゃんとおねえちゃんもしあわせに。
わらって!
わらって! おにいちゃん、おねえちゃん! 水嶋 穂太郎 @MizushimaHotaro
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