IQの高い他人の精子を使い子供を作る人はこの世界にもいる。
だがそれは稀であり、普通であれば結婚した相手と子供を作るものだ。
だがこの小説の世界ではそれが当たり前になっている。
ましてや精子に加えて卵子まで他人のものを使用すればそれは自分の子供だと言えるのだろうか?
だがその天才の精子で作られた人間が多数を占める世界では自然交配で生まれた子供は劣等種として生きなければいけない。
子供の将来を考えれば自然交配ではなく、人工で作るべきなのだろう。
言ってしまえば他人の子供ではあるが、生みの親より育ての親ともいう。当たり前のように自身の子供だと思い愛せる倫理観を持つこの世界の人々であれば問題はないのかもしれない。
読む人によっては当然捉え方も違ってくるだろう。
十分程度で読める短編ながら考えさせられる内容のこの小説。
みなさんも読んではみませんか?
まず最初に。
わたしは一人の子を育てる親です。
この作品が世の中に出回ったら、
間違いなく、爆発的に読まれる話題作になるだろうと思いました。
「生育」という、非常にシビアな話題を軸にされています。しかし、近未来的なファンタジーで綴られており「とっかかりにくさ」を軽々と飛び越え、驚くほど受け入れやすいです。
現実にも結びつくような、価値観の多様性、矛盾やエゴイズムが、読了感を引き立ててくれます。
人によっては、読み終わった後に、ゾッとするかもしれません。
最後に、素晴らしい物語であることに違いないのですが、こんな世界にはなって欲しくない。
読者の皆様はどう思われたのか、気になるところです。