第5話
頭に響く猫の言葉に、千隼は心のままに呟いてしまう。
「僕を導いてくれるの・・・?それなら、姿を見せて・・・?」
その呟きにポーンと軽やかに現れたのは、白いふわっふわの球体・・・
「僕、長毛猫のノルウェージャンフォレストキャットがいい・・・ダメ・・・?」
異世界に猫の種類が通用するとは思えないのだが、大の長毛猫好きな彼の頭には不可能という考えがなかった。
その結果・・・
《にゃ~ん?ノルニャーなんだにゃ???》
当然、ナビ猫には伝わらず・・・千隼も目に見て分かるほど落ち込んでいく。
慌てたナビ猫は、青年に問いかけ応えを待っている。
《召喚しないのかにゃ~?寂しいはわからないけど、谷仲康煕を召喚すると元気が出るにゃ~ん♪あまり泣くと目が取れちゃうにゃ~ん》
ナビ猫が懸命に励ますも、人一人を召喚するのに何の代償もなく出来るわけもなく・・・
呼ぶのは簡単。呼んだ後が地獄。出来の悪い薬の副作用のように急激に眠気が襲う。
見渡す限り草原の中で急激な睡魔に襲われ、夢精などしたら千隼は羞恥で泣き出すことだろう。
しかも、それだけで終わらないのがこのユニークスキル。
通常、エロい夢を見て夢精すると 目覚めに思うのは「うわぁ・・・最悪・・・、気持ち悪い・・・」なのだが・・・
スキルの夢精は気持悪さより体が火照り、異常なまでに快楽を求めてしまう傾向がある。
もちろん、女神が根っからの腐モードな為に変なスキルを与えられ無茶振りし放り込んだことは考えるまでもない。
《詠唱を直接頭に流すにゃ~ん♪そんで、心から強く願うにゃ~ん》
「僕の願いを祈りに込めて、彼の者を呼び示せ!(この詠唱・・・恥ずかしいよぅ・・・)」
心から強く願った千隼は、フワモコもといナビ猫に促され康煕を思い浮かべ召喚詠唱を唱えた。
詠唱により彼を中心とした環が浮かび上がり、目の前に光に包まれて現れたのは紛れもなく幼馴染の康煕であった。
突如、別世界へと来てしまった康煕は目の前に2年間探し求めていた千隼が居たことに驚きを隠せずに固まったのだった。
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