第2話
叫び過ぎて喉がカラカラに渇いた千隼は、制服のポケットに飴が入っていないかゴソゴソと探りながら独り言ちる。
「あの人が神様なのだとしても、もう少し説明してくれても良いと思うのは気のせいかなぁ。実際問題、ここドコなの?ん~、あった!叫び過ぎて喉痛いし疲れた時には糖分摂取するのがいいんだよね。飴持ち歩いててよかったぁ」
飴を口に放り込んで舌の上でコロコロと転がした。そして、広大な草原に敵がいないか確認してからスキルチェックをしてみたのだが・・・・・・
再度、叫ぶことになるとは思いもしなかった。
えっと、スキルチェック?
《ユニークスキル:夢精》
・・・・・・は?
なにこれ・・・?
えっと、うん?意味わかんない・・・
何か説明とかないですかね・・・?
混乱しながらスキルボードを見ていると、説明文が表示された。
《ユニークスキル:夢精》
〔睡眠をとる時にエロい夢を見て、邪魔されずに精を吐き出すことが出来るとレベルが上がります。また、起きている時に夢と同じことが現実で再現されると大幅にスキルが上昇します〕
「えええええぇぇぇぇ!?!?ナニコレぇぇぇぇええええ!?!?」
今日、何度目になるか分からない僕の叫び声が草原に響き渡った。
僕の楽しみは妄想なのに、こんな変なスキルなんて酷いです。
大事なことなのでもう一度言うけれど、僕の楽しみは脳内で妄想することなんです!!
そんな僕が見知らぬ場所に来て、変なスキルで生き延びるってどう考えても無理があるよね?
てか、無理だよね!!
「はぁ~。僕、妄想するのは好きだけどリアルでそういうの興味ないのに酷いよぅ・・・。妄想するだけなら誰にも迷惑かけないし楽しいし幸せになれるけど、後ろ使うってことでしょ。はぁ、むりだよぉ。絶対やだよぉ・・・」
途方に暮れる千隼がスキルチェックし終えるだけで無駄に時間が過ぎ、神による説明不足が災いして同じ場所から一歩たりとも動けず叫び疲れた彼は、その場に座り込んだまま頭を抱えるのであった。
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