「えっ!?こんなスキルって嘘でしょ!?」
鴻上 紫苑
第1話
僕の名前は、結城 千隼(ゆうき ちはや)16歳。
鳴無学園高等学校に通っている、極々普通の高校一年生。
自分ではよく判らないんだけど、クラスメイトには「結城みたいな女子が居たらなぁ。絶対、俺の彼女にするのに(笑)」と意味不明なことばかり言う。
え?クラスメイトの名前???
そんなの知らないよ。だって、覚えるの面倒くさいでしょ。
僕は、平々凡々に目立ちたくないから ひっそりの妄想を楽しみたいんだ。
いつものように妄想をしながら学校へ歩いていると、何か膜みたいなところを通過したような違和感を感じて顔を上げた。
そこには・・・
「・・・・・・え?えええぇぇぇ!?なにこれ!?どこおおおお!?」
見事なまでに大混乱中の千隼は、16年間生きてきた中で初めて腹の底から声を出して叫んでいる。
何故なら、学校へ続く正門を潜り抜けた途端 一面草原という異世界へ来ていたからだ。
驚くなというほうが無理であろう。
「ちょっと待って!?学校どこいったの!?」
尚も混乱している千隼が落ち着きを取り戻そうと深呼吸をしていると、頭の中で聞き慣れない音声が響いた。
【結城 千隼さん、あなたに私の(創った)国を助けてもらうために(勝手に)呼び寄せました。ぜひ、協力してくださいませ】
協力ってなに?助けてってなに?
僕、学校に行って毎日楽しみにしてる妄想を授業中に展開するのが生き甲斐なのに・・・
誰だか知らないけど元の世界に帰してください!
そんなことを心の中で思っていると、また音声が響いてきた。
【私の望みを聞き助けていただくことが出来ましたら、その時には帰してあげられるかもしれませんし出来ないかもしれません】
「ねぇ・・・真面目に帰す気あるの?ないの?どっち!?」
この世界、とくに異世界では細かくツッコんだら負けというのをまだ知らない。
千隼は、その後も正体を明かさない何者かにツッコミを入れていた。
【コホン。そろそろ本題に入りましょう。私の国で落ち人が生きていく為に、必要な知識や言語などを結城千隼さんの脳や心に刻み付けておきましょう。それから、あなたにピッタリのスキルも御用意しましたので活用してみて下さいね♪それでは、張り切って生き抜いて下さいね~】
ほとんど説明がない状態で、言うだけ言って音声が途絶えたその場所で千隼が思う。
「・・・・・・はい?」
思わず聞き返したくなってしまうほど、自分がクラスメイトから本やゲームで見聞きした普通の異世界ストーリーと違うと立ち尽くし、暫くして硬直が解けた千隼はまたしても叫ぶことになるのは言うまでもない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます