第6話
女神の悪戯で異世界へと連れて来られ、数時間しか経っていない千隼だが、地球では2年もの時が過ぎていた。
康煕は18歳になっていて、何事もなければ彼も同じように歳を重ねていったはずなのだが・・・
所謂、神隠しと同じで時間が停止しているようなものだ。
千隼が消息を絶ってから、いま目の前にいる姿を康煕は見て驚いていた。
「なぁ、千隼・・・。お前、2年前と変わってなくね・・・?」
「なに言ってるの?数時間しか経ってないんだから変わるわけないでしょ。むしろ、康煕のほうが変わったよね・・・。何で、そんなに身長伸びて男前になってるの?ありえないでしょ・・・」
「はあ!?お前が行方不明になってから、もう2年経つんだぞ!?その間、お前のこと探して知ってそうな奴を片っ端から聞いて連絡して・・・って、・・・・・・うおっ!?ここ何処だ!?」
うん、なんていうか・・・気づくの遅いよね。
召喚されてから、すぐに気づくと思ってたんだけど勘違いだったのかなぁ・・・
ともあれ、これで寂しさは解消された。
ホッと緊張の糸を解いたのも一瞬で体の異変に気付いた千隼だったが、久しぶりに逢えた嬉しさで考えを後回しにするのだが康煕は千隼の健康状態に違和感を覚えた。
「なぁ、千隼。どっか、具合でも悪いんじゃないか」
「ど、どこも悪くないよ」
寂しい時も体調が悪い時も、決まって千隼は誤魔化す。無意識に心配かけまいと康煕にだけは隠すのだ。
ただ、隠しきれていないのは彼の目がとろんと睡魔に襲われた時と熱で潤んでいた時が同じ表情なので康煕には簡単にバレる。
「お前、俺に誤魔化すとかするな。バレバレなんだよ」
そう言って手を伸ばし頬に触れた瞬間、千隼は「ひゃっ!」と可愛らしい声を上げた。
康煕の役目は、長年一緒に過ごし警戒心を抱かず、常に千隼の傍に居て見守ってきたことから女神によって召喚する人物を固定し幼馴染エロを満喫するために呼ばれただけなのだが・・・
果たして、そう上手く事が運ぶのかは当人達次第ということになる。
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