第8話
やっと遠ざかろうとしていた駅前へとまた戻るのかとは思った。しかしこの期に及び背に腹は変えられない。男性の立場として、女性と2人きりでここまで話を発展させておいて今更引くことは出来ない。見ず知らずの男女の間でそんなことがたまにはあっても良いのではないか。そう僕は思う。
再度コンビニ店内に入ると、念のため体のコンディションを整えておこうと僕は足早にトイレへと駆け込んだ。用を足し終えると鏡の前へ立ち、気持ちばかり凛々しい表情をしながら鏡の自分に目をやりながら襟元を正す。肝心な避妊具をさっさと調達し、直ぐに先ほど目星をつけた立体駐車場へと引き返さねばならない。目の前のやるべきことは既に明確で、ゴールまでの動線がはっきりと引かれているようなものだろう。
決してそのように余裕をかましていた訳ではないのだが、思いのほか避妊具が見つけられず店内を歩き回る。絆創膏や歯磨き粉や女性用の生理用品、普段持ち歩いていない時に緊急を要して必要になりそうな、そういった生活雑貨がまとまって陳列されているコーナーが何処のコンビニでも備えられているあるではないか。そのようなコーナーの前を何度も行き来しながら目当てに避妊具を探しはするものの、肝心のそれがなかなか見当たらない。気が付けばコンビニの売り場を一周していた。
埒が明かないと見切りをつけ、我に返るように周囲を見渡すと男性スタッフが視界に入る。まさかつい先ほどそこで知り合った女性を連れ添いながら「コンドーム置いてますか?」とお店の人に声を掛ける羽目になるとは思いも寄らないことであったが、そもそもこれから交わろうとしていること自体が突発事項ではある。もはやなりふり構っていられない。「あれだけレモンサワーを買いにお店を出入りした挙句、今度はコンドームかよ」と呆れさせてしまったかも知れない。ずっと同じスタッフの男性が対応してくれていることは僕も認識している。
コンビニを後にして再び家電量販店へと向かい、立体駐車場の敷地へと足を踏み入れる。本当に入っても良いのかと改めて問われると、やはり多少は不安にもなり、狼狽えそうになるのを平静を装う。駐車場自体は深夜も解放されているのだから、少しだけ身を潜めさせてもらうくらいは良いのではないか。人通りが気になっては気が散ってプレイどころではないだろうと気を取り直し、敷地に入って直ぐの角になる位置の階段を上がると、駐車場と店の入り口を繋ぐ開けた場所へ出た。
手持ちの荷物を地べたに置き、その上にジャケットを柔らかく折り曲げて被せた。彼女の小さなバッグも汚さないようにと、僕の荷物の上に重ねて置いた。
背中に手を回して再びブラのホックを外しながら身を寄せる。彼女が目を閉じて唇を重ねて応じようとするのを見て取り、舌先でその口元をこじ開けた。
ブラ紐をTシャツの袖から引いて腕を引かせると綺麗な装飾が施された白いブラが裾からスルリと剥がれるように抜け落ちる。堪らずTシャツの裾を捲し上げると、形の良いCカップかDカップ程のサイズの乳房が、プルンと弾むように露わになる。無駄な贅肉の少ない彼女の体のラインに対して、程よいサイズの乳房がアンバランスにこちらに何かを強く主張して来られるような感覚を覚える。手を添えてみるとしっかりとした弾力を返し、突起したその先端は初対面の相手に対して強張る様に硬くなっている。
僕は挨拶代わりと言わんばかりに、構わずその桃色の部分を舌先で湿らせてから歯を立てた。 吐息を漏らしながら身を捩る彼女の方も、僕のベルトに手を掛けて緩めようとするのを見てとり、こちらも身を預けることにした。ストンとその場にずり下げられたスラックスを引き摺らぬよう体制を整えながら、しゃがみ込む彼女の前に仁王立ちとなった。無意識に両手が腰にあるのをひどく偉そうだと自ら思う。この際堂々としていようと、何かに憑依されるように暗がりの中で勇ましい表情でカノ時に目をやると、下着の上に手を沿えながら彼女が支援を返した。
レモンサワーと終電後の駅前と 城西腐 @josephhvision
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