第7話
掴みは悪くない。会話のトーンやこちらへ向ける笑顔を伴った表情から友好的にコミュニケーションをとろうといった意思さえ感じられる。寧ろこれ以上無いくらいに自ら率先して個人的な情報を開示してもらえている。このままどんどん会話を弾ませたい。
「フラフラしてるって何して遊ぶの?」
「元彼と会ったりとか…?」
「ほぉ、でも会うくらいならアリなんじゃない?」
「そうかな…?」
「ぶっちゃけSEXは…?」
「してる…(笑)」
「来た!そういうの好き(笑)」
「何でですか…(笑)」
「元彼が好きかSEXが好きかと言うと?」
「元彼を好きな訳無いじゃないですか(笑)」
「なるほどSEXが好きと…。ふーん…。良いですねぇー(笑)」
「何なんですか…(笑)」
思いの外その時は早くやって来たように思う。
「最近いつSEXした?」
「2ヶ月前くらいですかね…」
「なるほど、前回からは既に2ヶ月開いていると…」
この会話の展開からこれ以上のタイミングは無い。続けて切り出す。
「ぶっちゃけると、男って綺麗なヒトとは機会があれば割と誰とでもSEXしたいじゃん?」
「はぁ…。まぁ…男性はそうですよね…」
「SEX好きなようだし、嫌じゃなければだけど…(笑)」
「何ですか…?」
「今から僕としよっか!(笑)」
「何処でですか⁉︎ 今からですか⁉︎」
「もちろん僕のことが生理的に無理とかじゃなければだけど」
「全然無理とかではないです。でも、これからってことですよね?未だ出会ったばかりですよ?」
ごもっともな反応が返ってくるが、それでも掴みは良い。
「そうそう、ほんと嫌じゃなければって話!」
「嫌とか嫌じゃないとか言えるまでの判断材料あります?」
それもその通りだ。だが判断材料とか何とかいう以前に「何を言い出すんだ」と、怒ってこの場から立ち去ることさえ出来る。それをそうせずに、こちらのペースで会話に応じてくれている時点で僕としては十分だった。
更に話を展開させようと攻めの姿勢を止めない。
「ところで、ホテルとか屋内のベッドの上で普通な感じでゆっくりするのと、こういう屋外で誰かに見られてるかも知れないところでするのとどっちが好き?」
「えぇ…、外も好きかも知れないですね…」
「じゃぁここでしよっか!(笑)」
そう言いながら駅前の大型家電量販店の立体駐車場を顎で指す。この流れの中で屋外でのプレイも満更ではないということが聞けた。更に追い討ちをかけるように、いわば突拍子もないことをあたかも当たり前のように持ちかける。相手にとっては意表を突かれ過ぎて、もはや平静を保てていない。
「え、ここって入って良いんですか⁉︎」
もちろんそういう問題ではないので、「気にするところそこかよ(笑)」とは思うがもちろん口にはしない。
「良いか悪いかで言うと他所様の敷地内に無断で足を踏み入れるのはダメかも知れないけど、ちょっとその辺に腰を掛けるだけだと思えばアリではないかな。あ、でもコンドーム持ってないや」
「じゃぁ出来ないですね…残念(笑)」
ようやく断る理由を見つけたようなリアクションが返って来るが、条件反射的に僕も返す。
「駅前にコンビニであったじゃん、そこで買えばいい!(笑)」
そう言いながら、体に手を回し手前へ寄せてグッと距離を縮めながら顔を近付けると目を閉じてこちらへ顎を突き出すように返す。静かに唇を重ねながらブラのホックを外すと、それに対しては特にリアクションは無く、彼女も意を決したように口元を緩ませた。上着越しにブラの下に手をしのばせると、見た目よりもボリュームのある乳房の先端に指が触れる。それに対してはくすぐったそうに体を捩る。直ぐにでも人目につかない場所へ移動し、手元の荷物を降ろして続きをしたくて仕方なかったが、どちらともなくコンビニの方に歩き始めていた。
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