ぜんぶゼンブ全部、おれガ悪い(別)
toto-トゥトゥ-
運命
人生が変わるんじゃないかって思う出会いがあった。
いつもとは違う通学路。
そこで、彼女・・・佐々木愛子さんに出会った。
見ず知らずの俺に笑顔を向けたり、手も振ってくれたりしてくれた。
そしてそれだけじゃ無く、落としてしまった大切にしていたキーホルダーを一緒に探したりした。
見つけたお礼に休日にお茶に誘われて、俺は少しだけ期待していた。
もしかしたら、俺にも彼女が・・・なんて。
けどすぐに冷静になって考えてみた・・・、こんなに可愛くて良い子が俺となんて合うはずがない。
いや、それ以前にもう付き合っている人がいるんじゃないか?
これはただのお礼に過ぎないんだから、邪に考えるのは失礼だと・・・。
そして約束の休日。
佐々木さんに連れられてオシャレなカフェに行き、談笑しながら美味しいティーや軽食を食べた。
その後近くの公園へ。
そこで・・・本当に俺の人生が変わる出来事が起きた。
「そういえば最初にあの道で目が合った時、俺の事怪しいとか思わなかったの?自分で言うのも何だけど、知らない人がジッと見てたのに笑顔で手を振るなんてなかなかできないと思うけど・・・。」
「う~~ん、何て言うんだろう。何故か田中田君を見てもそんな事は思わなかったなぁ。手を振ったのも勝手にって感じで・・・。」
「・・・それに私ね、田中田君と目が合った時に何故だかとっても安心って言ってもいいのかな?そんな感じになれたんだ。」
「えっ?安心?・・・それってどういう・・・」
「あ、あのね田中田君!私、お礼もそうだけど、今日はもう一つ伝えたい事もあって!」
「えっ?な、何?」
淡い期待なんて捨てていた。
これからも変わらない日常を過ごしていくんだと・・・。
「あのね!」
「う、うん。」
「・・・私」
運命の分かれ道なんていくつのある。
恋愛だってそうだ。
勘違いして、舞い上がっていたら恥をかく。
だから、今から佐々木さんの言う事もきっと・・・何て思っていたのに。
「私、田中田君の事が好きです!まだ出会ったばっかりでお互いの事何も知らないけど・・・それでも良かったら私と・・・付き合ってください!」
どうやら俺の分かれ道は、思ってもいない道に続いていたらしい・・・。
「・・・えっ、佐々木さん・・・それ、本当に・・・?」
「うん///」
これは夢か?
俺にこんなに可愛い彼女ができていいのだろうか?
つり合いが取れているだろうか?
「あ、あの、田中田君?それで、返事は・・・?」
「!!あ、あぁうん!」
あまりにも現実味を帯びない出来事に、頭が付いていけていなかった。
佐々木さんの呼びかけに我に返った俺の返事は勿論・・・。
「お、俺でよければ・・・喜んで!」
「っ!!・・・嬉しい。よろしくお願いします!」
「うん!こちらこそ!」
返事を受けた彼女は、満面の笑みを浮かべていた。
俺も自然と、笑顔になっていた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あのね田中田君、もう一つ伝えなきゃいけない事があって・・・」
恋人が出来た舞い上がりからか、あの後そのまま色々な所を二人で周り、遊びまくった。
そして帰り道の今、佐々木さんが口を開いた。
「伝えなきゃいけない事?」
「うん。」
歩きながら、横を歩く佐々木さんの話に耳を貸す。
「あのね、さっき私田中田君に手を振り返したのは勝手にって言ったけど、本当は私、田中田君の事、前から知ってて・・・田中田君だって分かってて手を振り返したの。」
「えっ!?ど、どう言う事?」
俺、どこかで佐々木さんと会った事あったっけ?
いやでも、普通覚えているよなぁ・・・。
「田中田君、いつもは学校に行くときの道って、私と会ったあの道じゃ無いよね?」
「う、うん。そうだけど・・・」
「私もね、いつもはあの道じゃないの。けど、いつも使ってる道が工事で通れなくなってて・・・」
その道って・・・俺がいつも通ってる・・・。
「前にね?その道で初めて田中田君を見かけたの。田中田君は友達とお喋りしてて気づいていなかったけど、私は田中田君のあの優しい笑顔を見て・・・気づいたら目で追ってた。」
嘘だろ・・・佐々木さんもあの道を?
今まで全然気が付かなかった・・・。
「あぁそっか、これが好きって気持ちなのかなって思った。・・・けど、なんにも接点がないのに、いきなり声を掛けるわけにもいかなかった。・・・あの道も通れなくなって、どうしようかって思っていたら、あの道でまた田中田君に会えたの。」
「そうだったんだ・・・。」
「うん!その時もどうしようか迷っていたら、田中田君がこっちを見てるのに気づいて、勇気を出して手を振ってみたの。」
佐々木さんも色んな事考えて、迷っていたのか・・・。
でも、そのおかげでこうして付き合う事が出来たのかもしれないな・・・。
勇気を出す・・・か。
俺はダメな方にばかり考えていたな・・・やっぱり佐々木さんはすごいな。
「俺・・・佐々木さんに出会えて良かった。」
「えっ///!?・・・わ、私も///。・・・ふふふ。」
「あはは。」
彼女の笑顔を見続けていたい。
だから、彼女が悲しむような事はしないようにしよう。
そう、思った・・・。
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