異世界への道標のような文章の魔力

劇作家を夢見る少年と、魔女の森に住む〝彼〟のお話。
面白かったです。内容(人物)が個人的な趣味に直撃している、というのもあるのですけれど、それ以上にとても完成度の高いお話でした。
冒頭で鷲掴みにされました。ただの道案内のような文章の、でも引き込まれるみたいな美しい流れ。そこに散りばめられた無数の情報。道順を説明されているはずなのに、伝わってくるのはその世界の有り様。こうしてたっぷりタメを効かせた後での、最後一文の収まりの良さ。
ここでいきなりノックアウトされて、そのまま貪るように最後まで。
読んでいてビリビリ心のセンサーに響いてくる文章。こんなにも読みやすく、また様々な想像をかき立てられる文章はなかなかお目にかかれません。
内容はもう、単純にストライクでした。人物が良いです。彼らの振る舞いや言葉。血が通っている、というか、存在にまったく嘘を感じないところが魅力的です。あともう、単純に、〝銀の髪〟が好きです。キャラクターとして好みど真ん中というか、心の内側からメリメリ何かを揺り起こされるような感覚すら覚えました。大好き。