「そこ行く？」という感じでいろんなところへ飛んでいく展開が心地いいです。

しかも意外性だけを狙った意味のない羅列ではなく、ストーリーの中で意味を持っていると読むことができ、夢を見ているような感覚に陥ります。

どこまでも深く意味を汲み取れそうで、でもこれでいいのかなと不安になるような、そんな不思議な読書体験ができました。

文字だけのはずなのに色取りも豊かです。読んでいて楽しくなります。

注）本レビューはシーチさんの歌詞（レビュー）の2番となっております。合わせてお楽しみください。

２つのスカート どっちの方がいい？
君はちょっと心配そうに パッチパッチ 目を逸らす

２つの瞳 緑色に見える？
君は少し恥ずかしそうに チックチック 指をさす

右はさくさくなりんごパイ 左はてかてかなカメレオン
壁紙を引き裂いて ちくわのようなキリン
綿菓子のような腕 べっこう飴のような爪
ただなんとなくすぎる日々を 嬉しいなって微笑んで
見えないふりした不都合を 落としてこっそり取り替えた
青と赤の信号が点滅してる

スカート　スカート
右は骸骨　左はパプリカ　わたし

スカート　スカート
右は骸骨　左はパプリカ　変わる

スカート　スカート
右は骸骨　左はパプリカ　色は

スカート　スカート
右は骸骨　左はパプリカ　君と同じ

ぶら下げたスカート　どっちが良いと聞く
君はすこぶるご機嫌そうに　チッカチッカ　瞬く

見透かしたアラート　こっちが良いとコク
君はすこしだけ不満そうに　コッツコッツ　ガイコツ

白い闇の中に連れ込んで　ささくれからビリビリに裂く
ギリギリの尾骶骨　撃沈のマルゲリータ
黒の境界線をシャッて払って
当たり前にある日常を　楽しいねって呟いて
通り過ぎる不条理を　鼻で笑って泡を喰う
アップルパイとカメレオンが待っている

スカート　スカート
右は骸骨　左はパプリカ　そうさ

スカート　スカート
右は骸骨　左はパプリカ　いつも

スカート　スカート
右は骸骨　左はパプリカ　ぼくら

スカート　スカート
右は骸骨　左はパプリカ　いつまでも

どっちのスカートがいい？
そんな彼女の問いかけに、彼氏はどちらが似合うか想像する。
その想像がもう、日常を創造性に浸食された芸術家のようで共感出来るし気持ちがいい。
そんな意図はないかもしれないが、それでもそう思える作品です。

ああ、この創造性が欲しい。

おもしろかったです。
意外な展開を畳みかけてオチまで一気に突っ走る思い切りの良さがいいですね。なにも説明がないのも素敵です。下手な説明は雰囲気やリズムを壊しそうです。
こういうのははまるとすごくおもしろくて、外すともやもやした感じになりますが、この作品は見事に非日常な彼と日常な彼女の服選びを描ききっていてお見事でした。