後宮武侠物語

作者 古月

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★★★ Excellent!!!

中国拳法を描きたかったから中国の古い王朝ぽい世界にしただけで、基本は単なる武侠小説と言う認識で読み進めた。それでも素直に面白いと熱中していたら、最後の後日譚で驚いた。
これって史実を踏襲した歴史小説だったんですね。
主人公が、市井じゃないけど、無名な人物だから、中国史と関係してくるなんて予想もしてなかった。
ネタバレには相当しないと思うが、日の光を浴びる歴史上の人物で言えば、あの大帝国の唐王朝の二代目から三代目にかけて。
ここからはネタバレに注意しながら書くが、Wikipediaは三代目を馬鹿にしている。史実では日本の白村江の戦いにも関係してくる、彼の妻も本作品にはシレっと登場している。
作中で流布される不吉な「武…」の噂話も、後付けで史実を知ると「あ、はん‼︎」みたいにニヤリとするガジェットだ。当時の巷間に流れたか否かは存ぜぬが、何とも細かい設定である。
脇役から言及してしまったが、主人公も興味深いキャラだ。先に「無名な」と形容したが、だからこそ映画タイタニックのディカプリオみたいな存在感を放つ。女性ですけど。
主な舞台が後宮なので登場人物の過半が女性だけど、深い意味で殆どの人物が中性的。フェロモン度は希薄で、奥深い人間性のキャラ設定がなされている。

★★★ Excellent!!!

 すっげぇ……。(感嘆しか出てこない)

 カクヨムを読んでると時々「なんでこれ書籍化してないの?」ってレベルのすごい作品を引き当てる時があるんですけれど、これはまさしくそれでした。
 武侠描写の参考になにか読もうと思いたち、この分野でよく名前をお見かけする作者さんの作品をとりあえずと選んだのすが、もうなんかレベルが違った。

 歴史、ミステリ、百合、そして武侠、どの描写においても隙がない。全てを高いレベルで描きながら、王道のストーリーにより徹底したエンタメ作品として仕上げている。息も吐かせぬバトルがはじまったと思ったら、後宮での乙女達のかしましい日常、かと思えば次々飛び出す歴史上の人物。どの分野が好きな人間でも虜にするおそろしい緻密さを持ちながら、それらがあくまでサブ要素でしかないと感じられる骨太のストーリーで押してくる。圧倒的な小説としてのパワー。いやはやとんでもないものを見てしまった。

 主人公はちょっと針仕事に従事するちょっと冴えない女官の麗雲(後に流螢)。
 しかしながら彼女は幼い頃から武芸をたしなみその腕前は達人級。後宮に入ってからも夜な夜な裏庭で自主トレをしておりました。
 が、そんなところを、妃嬪の一人である徐恵に見つかってしまう。彼女と義姉妹の契りを結んだことから、麗雲はあれよあれよと宮廷にうずまく陰謀に巻き込まれていく。
 自らの過失により、皇太子をあやうく殺害されかけてしまい、その責を問われた彼女は、助命と引き換えに名を捨てます。流恵と名を変えた彼女は、現在の後宮の寵姫たちから皇太子妃を選抜する「比武召妃」なる武術大会へと身を投じ、その背後でうごめく皇太子暗殺の陰謀を探っていくことになる……。

 という、もう面白さしかない筋書きなのですが、これがさらに魅力的なキャラと設定で倍面白い。いやもう、ほんと、すさまじい。スパイモノはここ最近の流行ですが、… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

まさかの後宮を舞台にした武侠物だ。
それも、魔法も神秘もない、頼みは己の功夫だけというガチンコである。

武侠物ということで、アクション シーンの大部分は白兵戦闘なのだが、その描写が秀逸だ。
攻防をほとんど一手ずつ描写しているはずなのに、テンポが落ちず戦闘の緊迫感を損なわない。
「ブルース リーのアクションを読んでいる」ような感覚を各章で堪能できる。

話の本筋である陰謀劇は、非常に複雑で読みごたえがある。
多数の登場人物が、きちんと自分の思惑を持って行動している。
さらに、主人公は陰謀劇の端でちょろちょろする立場なので、入手できる情報は限定的。
このため、陰謀劇の全体像はラスト バトルまで明らかにならず、緊張感を維持して飽きさせない。

この濃密な描写は、史実を舞台にしたことで成立した。
役職、制度、服装、建物などの風景、地理などの描写は最低限に絞られており、唐代の中国をイメージできることが前提条件だ。
ちょっと分からない単語が出ても、ググれば解決する。
もし架空王朝を舞台にしていたら、全てを説明しなければならない。
それでは情報量が多すぎて、読者が物語に集中できなくなっていただろう。

色々書いたが、「ぶげいタイムきらら」のタグに嘘はなかった。

★★★ Excellent!!!

後宮にて起きる権力争い。
権力争いと武侠ものの親和性の高さたるや、最早言うまでもないことと思いますが、後宮とつくだけでこの親和性に新しい価値が加わりました。
今更万言を尽くして作品の魅力を語るまでもありませんので、取り敢えず言えることは。

朋輩よ、読め。そして再開を待つのだ。

★★★ Excellent!!!

後宮モノといえば、大人気のジャンルの一つですよね。
古今東西、多彩な作家さんたちが豪華絢爛たる後宮物語を紡ぎ、魅力的なヒロインたちが生まれてきました。
今でも後宮モノは続々と刊行されており、現状続いているシリーズがどれだけあるのか把握するのすら難しい感があります。はっきり言って全部読めません(^_^;)
こうなると、読み手としては「いかに作者のオリジナリティーがあるか!」でどの作品を読むか決めるしかない……。


故人曰く、「小説のオリジナリティーとは、つまるところ書き手の性癖なり」


この言葉はブッダかイエス・キリストの名言……いや、孔子だったかな?
とにかく、昔のエロイ人が言った言葉のはず。

何にしろ、物語とはどれだけ自分の「好き」を詰め込むことができるかで輝くか輝かないか決まると思うのです。
その点で言うと、古月さんの今作品は狂わんばかりに輝いています。狂輝乱舞(きょうきらんぶ)しまくりです。


だってさぁ……



ふ つ う、 後 宮 モ ノ を 武 侠 小 説 に し ち ゃ い ま す ! ! ? ?

武芸大会で皇太子妃を決めるって、何なんですかーーーッ!!!

こんなストーリー思いつくの、天下広しといえども武侠小説が三度の飯よりも大好きな古月さんしかいねーーーよ!!!(いたらごめん)

アホですかあなた!?

でも大しゅき!!!



……こほん。失礼しました。
とにかくですね、この小説には古月さんの「武侠小説大好き!」という性癖が溢れ返り、だだ漏れになっております。
あと、古月さんは女の子も大好きなのでしょう(←人聞きの悪い言い方やめろ)。主人公・麗雲とその主人・徐恵ちゃんの百合シーンがいたるところに散りばめられ、ベッドシーンまであります(鼻血)。
恥ずかしがりで奥手な麗雲が愛しの皇太子様を守るために敵とぶん殴り合いする姿も、とっても健気です。武… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

一目見てお分かりの通り、タイトルもキャッチコピーもいたってシンプル。
この作品はその名の通り、後宮モノと武侠モノを見事に融合した「ジャンルの垣根」を叩き割りにかかる作品です。

後宮モノの華やかな世界観の描写は言うまでもなく、女性たちの友情と愛と政治の狭間で揺れ動く一見凡庸な主人公の心情にぐっと引き込まれながらも……

バトルシーンでは、劇画調のアニメのような濃密で手に汗握る展開が繰り広げられます。(そしてその手数の多さはさすが古月さんの力量があってこその為せる技!)

本来なら相反するように見える二つのジャンルが良い意味で作品の緩急を生み出し、ぐいぐいと引き込まれていきます。

本レビューを書いている現在、最新話では誰が黒幕なのか分かりそうで分からないもどかしい展開になっています。

……あれ、もしかして「ミステリー」のジャンルの垣根まで軽功で飛び越えようとしてます?

★★★ Excellent!!!

 この主人公。『能ある鷹は爪を隠す』をちゃんとしていたにも関わらず、それを隠しきれずに見抜かれ、あれよあれよと重用される。そういう展開の流れ、淀みなく素敵に描かれております。

 今後も主人公には、様々な困難が降りかかってくるでしょう。しかし、スカッと一発、うまく切り返してくれる事でしょう。

 やはり、持つべきモノは『才を見抜く上司』ですねぇ。(しみじみ←)

★★★ Excellent!!!

宮勤めの無学なお針子は、ひょんなことから、
溌剌とした才色兼備の妃嬪と顔見知りになる。
お針子には秘密があった。武芸ができるのだ。
それを妃嬪に知られてしまったからさぁ大変。

妃嬪とは皇帝の側室で、後宮に暮らしている。
お針子が出会った彼女は、いまだ乙女だった。
彼女は自らを妹とする義姉妹の契りを提案し、
お針子はその夜から妃嬪の姉となってしまう。

ところが、秘密の義姉妹の仲睦まじい関係は、
後宮に現れた不審な武芸者によって絶たれた。
お針子は投獄され処刑を言い渡されるのだが、
これは皇太子と巡り会う運命の始まりで──。

大唐帝国の華やかな後宮が舞台となっており、
登場するオジサンたちが有名人だったりする。
彼らをも巻き込みつつ盛大に開催されるのは、
女によるガチ武芸コンテスト、景品は皇太子。

果たして、お針子上がりの武侠系ヒロインは、
舞踏会ならぬ武闘会でいかなる舞を披露して、
皇太子様の心をつかむシンデレラとなるのか?
読者よ読者、共に続きを楽しみにしましょう。