第13話 副詞と形容詞を削る

前回に続き、文章のリーダビリティを上げる方法です。

今回もタイトルが全てです。


文章を書いていると、言い切りが怖くなることがありますよね。

たとえば、「彼の発言は正しかった」と書いたときに、「いや、でも例外はあるよな」と考えてしまい、「彼の発言は、ある限定的な状況において、おおむね正しいと言えるだろう」と直してしまう。

こういうのが積み重なっていくと、どんどん文章のリーダビリティが下がっていきます。


なので、文章を書くときは常に余分な形容詞、副詞が入り込んでいないか注意を払います。

どうしても必要なものだけは残し、重要度の低いものはどんどん削る。

そうするだけで文章のリーダビリティは上がっていくと思います。


特に注意すべきは、物事の程度を現す「程度副詞」です。

形容詞にひっついて使われるため、凄まじい勢いで文章のを重たくしていきます。

文脈にもよりますが、「その風景はとても美しかった」の「とても」なんか、9割がた不要だと思います。「その風景は美しかった」で十分。文章から読者が受ける印象はほぼ変わりません。


程度副詞には、文章を読みにくくするだけではなく、文章を空虚にする悪弊もあります。

「とても美しかった」と書くと、美しさを十分強調できた気になってしまうのですが、読者からするとどれくらい美しかったのか判断できません。具体性がないんですね。

具体性のない描写が続くと、読者はだんだん小説内の情景を想像しにくくなり、疲れてきます。


とはいえ、具体的な描写が続きすぎてもそれはそれでしんどいので、何事もバランスが重要だよね……といったところで、今日の話はおしまいです。

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書くことについて、あるいは愚者のための創作論 怪奇!殺人猫太郎 @tateki_m

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