繁栄の時代(シェハル過去から来る)
イスタリアスタワーの最上階にアルス帝国皇帝シリアテリウスがいた。
「予言の時じゃな」
「はっ!」
「悪しき魔物、現れし時」
「皇帝陛下、近衛だけでは魔物に対抗できないのではないですか?」
シリアテリウスの後に続く部下が心配そうに言う。
「この皇帝のみに受け継がれる魔剣もあるし、大丈夫じゃ!」
すると、虚空を切り裂き空間が割れた。
白銀の髪、赤い瞳、白磁の肌。
見かけは年若き少女の姿であるが、確かに空間の割れ目から、それらは現れた。
「あれが悪しき魔物か?!」
シリアテリウスは魔剣を引き抜く。
「うん?今代の皇帝か?」
少女はイスタリアスタワーの最上階の上空でシリアテリウス達を見てそう呟いた。
「そのようですな、シェハル様」
答えたのは、少女の傍らにいる男だった。
「悪しき魔物とお見受けする!アルス帝国皇帝シリアテリウス見参!」
シリアテリウスは少女に向けて魔剣を抜き放った。
「皇帝陛下、凄まじい魔力です!」
「あれらはアルス帝国に災いをもたらす存在!ここで打ち果たしましょう!」
シェハルと呼ばれた少女は、目を閉じシリアテリウスらを睨みつける。
「うぬっ?!なんじゃこれは?!」
「動けませぬ!」
その時、イスタリアスタワー最上階に置かれていた古代の英雄達の石像が割れ、中から生身の人々が現れた。
彼らは、時間を越えるために、アルス創始者によって、石像にされていたのだった。
そして、アルス創始者もまた、過去から時間を越えてイスタリアスタワーに現れる。
「イザヤ様!純粋種達が!」
「ああ、わかっている。シェハル!お前にはさっき逃げられたところだがな。ようやく終止符を打たせてもらう!」
イザヤの周囲に石像から現れた古き仲間達が集まる。
純粋種の主であるシェハルは、赤き瞳によって時間を止める。
シリアテリウス達は動けないが、イザヤとその仲間達は違う。
「イザヤ、君もしつこいね。ボクのことがそんなに好きになったのかな?」
「何を言ってやがる!」
「さぁ、宴を始めよう。もちろん付き合ってくれるよね?」
シェハルが本当の姿を現す。
化け物だった。
シリアテリウス達は、イザヤの仲間によって、時間停止から救われた。
シリアテリウスは思う。
(こやつらは?イスタリアスタワー最上階の石像を壊してはならないというアルス帝国に伝わる古き口伝・・)
(あの容貌、まさか、アルスの一族創始者殿なのか?)
そこへ、アルス帝国を陰ながら守護してきた監視者シランが現れる。
このシランはシリアテリウスの実の父である。
アルス帝国初代皇帝レヒナの命により、アルスの聖域、アルス帝国を長年見守ってきた。
シランはシリアテリウスを庇って命を落とす。
シリアテリウスはシランが何者かなど何も知らない。
実の父であることすらも。
イザヤは、シェハルに向かって突撃する。
その時、時空が割れた。
アルステリウスの万華鏡から解き放たれたシェハルとイザヤは、本物の現実空間、夜薙の天涯へと至る。
そこで座すのは、アルステリウスの万華鏡を生み出したとんでもない化け物、夜薙白姫。
シェハルの力とイザヤの力がぶつかることで、アルステリウスの万華鏡たる箱庭の結界を打ち破ることができる。
残されたシリアテリウスの前に空間を渡って不思議な少女が現れる。
男とも女ともとれる外見をした何者かは、ゆっくりとシリアテリウスに語りかける。
「シリアテリウス、2.5億年前の世界でアルス創始者イザヤがそなたの助けを待っています」
「そなたは?」
「伶廊桜。追憶の旅人・・」
「うむ。意味はわからぬが、アルス創始者殿が私の助力を求めているならば、行こう!」
途端にシリアテリウスの姿がかき消える。
代わりにシリアテリウスを模したと思われる石像が現れる。
Believe in yourself, and your dreams will come true. シェハル/シルエラ/ライゼン @sakuma2146
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