再会

 今回も突然大学生になってるわ何故か真の独白だわで、皆さま戸惑われたのではないでしょうか。私がうまい処理の仕方を思いつかず……(;_;)。

 でも、真視点の物語を書いてみたかったのです💦

 

 コミュニケーションが苦手で、話の意図は掴めないし自分の気持をうまく伝えられない。でも、興味のあることはどんどん学んで探求していく。

 真は「自閉スペクトラム症」、以前でいうところの「アスペルガー症候群」をイメージして書いています。真がやたらと微生物について調べてるのは、自閉スペクトラム症の「こだわり」なんですねぇ。

 でも、彼らのキラキラした世界、新たな世界を知るワクワク感を、「興味の限局性」「関心の偏り」なんて言葉で括ってしまうのは、なんだかもったいない気がします。

 レオナルド・ダ・ヴィンチ、アインシュタイン、織田信長。アスペルガー症候群だったと言われる偉人はたくさんいます。彼らが新たな扉を開いてくれたおかげで、私達の今があるのですもの。


 さて、真にはもう一つ「人前で喋らない」という特徴があります。これは場面緘黙といわれる状態です。家では喋るけど、特定の状況(学校など)では喋らないことが長期間続く。故意にではなく、本人もどうしたらいいか分からない。

 場面緘黙のメカニズムはまだはっきりしていません。脳が刺激に敏感に反応するという生来の気質があり、不安が高まりやすく慎重になりやすいのではないか、という説が有力なのだそうです。他にも様々な要因が重なっており、中には発達障害を抱えている人もいて、真はこのパターンです。発達障害=場面緘黙、ということではなく、場面緘黙の人の中には発達障害を併せ持つ人もいる、ということです。念のため。

 自閉スペクトラム症かつ場面緘黙という設定にしたことで、真が何者か分かりにくくなったという反省はありますが(^_^;)

 前にもこのエッセイの「三日月藻」で述べた通り、私自身が場面緘黙でした。私の体験を振り返り、真もそれをなぞらえた訳です。自明のルールの欠落、世界に対する違和感。発言する度に深まる断絶を、発言しないことで回避する試み。

 でもそれは、大人になった私が考えたことで、正解かどうかは分かりません。当時は、まるで分かりませんでした。ただ、違和感と居たたまれなさだけがありました。

 私は小6の時に一念発起して喋り始めたわけですが、大人になっても場面緘黙が続くこともあります。今は治療法もあるようですが、昔は「場面緘黙」という言葉自体知られていませんでしたしね。

 私も業が深いのか、大人になった今、場面緘黙を抱えて生きる方々とお会いすることがあります。

 彼らと接して感じるのは、「この人は世界に対して閉じているのではない」ということです。

 頑張って筆談して下さる方がいれば、「はい、いいえ」を指差すことで意思表示される方もいます。微かな頷き、瞬き。彼らにとって脅威とならないやり方で、私達と繋がろうとしてくれている。

 言葉で話せる、話せないではない。彼らなりのやり方で、私自身もその世界を脅かさずに、気持を伝え合えるかどうかなんだ。

 私は、そんな風に感じたりします。



 十代の頃の出会いって、特別。それは、そのままの繋がりを維持できないからなのかもしれません。

 全ては移り変わる。毎日一緒に過ごして、どんなに親しかったとしても、お互いの環境や状況が変化する中で、離れていくこともあります。

 ただフェードアウトしたというのなら、心にそっと閉まっておけますが。連絡が急に途絶えた友人、袂を分かった友人、会いたいのに会えないまま、繋がりが絶たれてしまった人のことは、整理がつかなくて。

 もうこのまま会えないのかなぁ、と思うと切ない。

 けれどある時、「会えたことは変わらない」のだと気付きました。あの頃、あの人と一緒に過ごしたこと。掛けてもらった言葉や、一緒に笑った思い出は消えない。あの人に会って考えたこと、感じたことが、今の私に繋がっている。

 そう思うと、素直に「ありがとう」が言える気がしました。

 もう会えなくても。あの頃の私と一緒にいてくれたこと、ありがとう。

 けれどもし、再び巡り会えたなら。その時は、それぞれの歩んできた道の先で、新たな私とあなたとして、繋がることができたらいいな。



 さて、とりとめなく書いてきたこちらですが。今回で完結することにしました。

 なぜなら……本編が次回で完結するからです!!(*゚∀゚)!!

 本編の最後にあとがきも書こうと思ってるので、こちらは一足先におしまい。

 「読みたい人だけ付き合ってくれたらいいや」とこっそり始めたのですが、予想外にお付き合い下さった方がいて、こちらだけでも読んで下さった方もいらっしゃいました。

 個人的な話、というのはフィクションとまた違う重さがあり、読むのがしんどいこともあると思います。にもかかわらず、最後までお付き合い下さったこと、本当にありがとうございました。


 あと一話、よろしければ本編にもお付き合い下さいませm(_ _)m

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「顕微鏡」零ればなし プラナリア @planaria

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