うそつきリースヒェン

作者 ハコ

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★★★ Excellent!!!

かつてイエスには12人の使徒がいたが、ニーチェには妹がいた。
『唯一真実のキリスト者』は使徒たちによって道徳に仕立て上げられた。
その道徳を憎み、本物のイエスを讃えようとした男がいた。
『この人』は妹によって第三帝国の道徳に仕立て上げられ損なった。
イエスは使徒たちによって復活したが、ニーチェを復活させようとした妹には奇蹟は与えられなかった。
使徒たちのうそは本物となり、ただ1人の妹のうそは本物になり損なった。
しかし、すれ違う兄妹の感情は確かに道徳を超越していた。
リースヒェンの『あこがれの矢』がうそをのせて末人達の心臓を射る。
ある意味でディオニソス的なニーチェに対してアポロン的なリースヒェンの二人が紡ぐ物語は不協和音にきしみながら一個の運命としての二つの悲劇的結末に至る。

★★★ Excellent!!!

ニーチェ、ヒトラー、ワーグナー、フロイトまで登場するので、主演級をいささか無造作に詰め込みすぎではないかと思いたくなるが、実際彼らは同時代に生きていたのだから仕方がない。しかし主人公は、世間一般にはあまり知られていない、ニーチェの妹リースヒェン。
やだ、怖い、この人。
ニーチェは、私が漠然と抱いていた彼のイメージは、この賢いが凡庸な妹が作り上げたものだったのだろうか?
途中からは、さながらホラー小説を読むが如く、兄ニーチェを気の毒に思いながら読んだ。続きが大変楽しみである。