13ー4 エピローグ
ベルム歴761年、俺は長男フェルディナンドに家督を譲り、隠居の身となった。
俺の後を継いで、ファンデンダルク侯爵家当主となったフェルディナンドも、既に36歳となり、妻一人と4人の子持ちだ。
ジェスタ王国の貴族は正室以外に複数の側室を迎えることもできるんだが、あるいは多数の側室を持った俺への反動なのか、フェルディナンドは正室が一人だけで側室を持たない。
嫁になったのは、ローガン伯爵家の養女でサリエスという女性だ。
一応ジェスタ王国内では元市井の娘ということになっているが、実は異界である「フォブラン」でフェルディナンドが自分で見つけてきた娘だ。
ウチの子供ほどに能力があるわけではないが、超能力が使え、フェルディナンドが教えることにより魔法も使えるようになった娘だ。
フォブラン世界では大商人の娘だったのだが、フェルディナンドと恋に落ち、16年前にフェルディナンド家へ嫁いできた。
まぁ、異界からの花嫁なんでつじつまを合わせるのに色々と面倒なことがあったが、何とか折り合いをつけて結婚に漕ぎつけたわけだ。
フェルディナンドもジェスタ王国の侯爵の立場なんだが、同時にフォブラン世界での起業家として向こうにも根拠地を置いている。
従って、フェルディナンドとサリエスは、フォブラン世界とホブランド世界の双方に姿を現している。
時空間魔法で、互いの世界の時間を調整することで出来る離れ業だ。
そのようにして長兄が先鞭をつけた所為もあって、続く弟妹が当然に真似をする。
その結果としてホブランド世界の嫁を貰い、若しくはホブランド世界の男のもとに嫁いで行ったのは、27人の子供の中で3人だけだ。
残りは異界に根拠地を置いて、異界の伴侶を見つけたものばかりだ。
弟妹達は侯爵家を継ぐ予定はないからある意味で自由にky十血を選べる立場だ。
しかしながら、一応ホブランド世界にも根拠地を置いており、フェルディナンドと同様に二重生活を楽しんでいる様だ。
特段、モンスターのような危険な婿と嫁は居ないからましだと思っており、伴侶選びは子供たちに任せる方針だったから、俺も嫁も当然のように息子や娘の選択に許しを与え、祝福してやったよ。
いずれにせよ、子供たちも全員が独り立ちをしているわけで、俺たちが常時傍にいてやる必要も無い。
そんなわけで、ホブランドの西エオール海にある絶海の孤島レイデン島に妻たちと引っ込むことにしたのだ。
俺がホブランドに降り立ったのは、ベルム歴724年だから、かれこれ37年も経っている。
ホブランドは1年が480日だからな。
ホブランドでは、地球の1.3倍ほども歳を食うことになる。
俺がホブランドに降り立った時はステータス上で17歳だった。
だから今の俺は54歳、地球の年齢に換算すれば70歳だぜ。
だから隠居しても別におかしくは無いんだが、実際のところは20代前半の体型を維持していて老けないんだ。
引退なんぞしなくても十分現役で通じるんだが、人は年相応に年を取るべきだろうな。
そうでなければ周囲の者が不思議がる。
エルフであれば誰も奇異な目では見ないだろうが、少なくとも自分と同じヒト族と思っていた者が全くと言って良いほど年を取らないとなれば、最初はうらやましがるけれど、いずれは気味悪がるもんだ。
俺と嫁sは、その限界に達したわけだ。
だから嫁sとともに無人島に引っ込むわけだ。
無人島に一応の別荘はあるんだが、実際にはそこにはほとんど住まずに、シャルトンという長寿のヒト族が住んでいる異界に根拠地を定めて、そこで生活をしている。
クィンテス世界でも良かったのだが、シャルトンと比べると若干政情不安があることと、クィンテスでは特定の地域でしか一夫多妻が認められていないので俺たちではちょっと住みにくいという特殊事情もあったんだ。
そのためにそうした問題のないシャルトン世界に安住の地を選んだわけだ。
このシャルトン世界であれば、俺や嫁sもわざわざ老け顔の化粧をせずに生活ができるので、ここで暫くは住むことになるだろう。
ここでも長寿ゆえの問題が生じたならまた別の異界に居を構えるつもりではいる。
俺はともかくフレデリカを除く嫁s達は、ここが終の棲家になるかもしれない。
もしかすると、更なる長寿の手法を見つけて愛する嫁sとより長い時間を過ごせるやもしれないが、それはまた別の話だな。
少なくとも今は過ごせる時間が長くなったことを素直に喜ぶべきだろう。
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最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
多くの皆様からご声援をいただいたことに改めて感謝申し上げます。
また別の作品でお会い出来たらうれしいです。
追伸:
次回9月2日(土)午後8時より、「コンバット」を連載予定です。
ご一読下さるとありがたく存じます。
2023年8月26日 By @Sakura-shougen
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート? @Sakura-shougen
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