言い換えの効かない3,000文字の弾丸

衆目の中、処刑場で銃殺される踊り子のお話。
面白かったです。読み始めてすぐ、何がなんだかわからないうちに、頭から物語に飲み込まれていました。読み終わった今でもなんだかわかっていません。すごいものを見ました。
凄まじい迫力です。書かれているものの骨太さと、それを完璧に支え切る文章の技巧。くらくらと眩暈のするような展開の妙と、心の芯にゴリゴリ牙立てて食い込んでくるかのような結末の余韻。
最高でした。このレビュー欄で何を言えばいいのかわかりません。ぴったり3,000文字の物語、レビューや感想として言い換える必要性すら曖昧です。読めばわかるので読みましょう、そのひとことで済んでしまう。
これじゃあんまりなのでとにかく思ったままに好きなところを挙げるなら、やっぱり書かれているものそのものが一番好きです。主人公の心情、〝彼女〟に対する思いというか、その中に見出しているなんらかの感情。それが現実の光景として顕出する終盤(処刑の場面)と、そしてそのあとの結びの一行。まるで縋るような、救いを求めるかのようなあの「せめて」が、胸の真ん中にぶっすり突き刺さったまま抜けません。
とにかく、好きです。この作品を読めてよかったと、心の底から思える物語でした。

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