鳥かごから、外へ
羽を思いきりひろげ、はばたいてみる。肩甲骨に、重さを感じながら、最初の頃に比べ、自然にはぱたきができるようになっていた。外に出たい衝動が、わき起こる。
かっ、かっと、何かがぶつかる音?!がして、目が覚めた。(また、あの夢だ。)と同時に、音がしている所を、探し出す。窓だった。何かが、あたっている?外から、誰かがものを、投げている!
何とか、答えなきゃ。どうしたら、いいの? とっさに隅に置かれたカバンを、引っ掻きまわす。あった。それから、高さがある窓にパイプベッドを引きずってくる。
外では、コンクリート作りの三階建て洒落た造りの家の周りに二人 、同期の斎藤 良一と、先輩の中原 里美がいた。
玄関先に近づきチャイムを鳴らし、待つが出てくる様子もない。「変ねー。相変わらず携帯にも出ないし。」そういいながら、家の周りをゆっくり歩き周り始める。「あそこの窓、立て付けじゃない」さとみの声で、三階にある窓を見上げた二人は、立て付けの窓に、違和感を覚えた。
良一が、おもむろに石を投げはじめた。
しかし、応答がない。「 やっぱり、先輩の考えすぎじゃない?泣いてたのは、結婚後のマリッジブルーかもしれないし。実家に帰っているかも」と、喋りながら帰りかけた時。「良一。ま、窓」と、興奮気味に里美は、指指しながら発する。指した方向を、見ると先程までなかった。赤い文字がみえていた。《help》二人は、顔を見合わせた。
そこからは、急展開にことが進んでいった。駆けつけた警察官によって、林野 愛莉は保護された。監禁されていたのだ。頑丈な扉を開けた時 みえたものは
一羽の大きな鳥みたいだったと、数人の警察官は口を揃えて言う。保護された時は憔悴が激しかったが、両肩をかかえてもらいかろうじて頼りなく階段を、降りてきた。
玄関先で良一と里美の顔をみた瞬間、愛莉は安心したのか死んだように、二人に倒れ込んできた。その同時刻 、通報を受けた松田 健人は、監禁罪で捕まった。余罪がないか取り締まり中だ。今までの仮面が、脆くも崩れ去っていった。
春への扉 クースケ @kusuk
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