アルトストーリア

　この世を構成する全てに、魔力が宿っている。　空を飛ぶクジラも、尾を噛んだ蛇も、羽の生えたウサギも、火を吐くトカゲも、ソレらは全て人々の側に生きているのだ。
　そんな話も「お伽話」として人々から消え去った現代──。　いつしか人々は自分達を襲う魔物の存在さえ見えなくなっていた。　
　弱き人々を、命をかけて護るのが『魔法使い』と呼ばれる存在。　彼らは古き物語を忘れることなく受け継ぎ、その力を使って弱き者を導いてきた。

　そんな魔法使いの一人である「杯祭星」は、類稀なる才能と真っ白な髪のせいで『バケモノ』と呼ばれ、蔑まれてきた。

　これは、バケモノと呼ばれる魔法使いの少女と、そんな少女を闇に堕ちるほどに焦がれた青年の
　世界を壊す、物語である。