第3話 ハイ・ライフに気を付けて 3

 頭を押さえながら石狩は現場に向かっていると明らかに警察関係の人ではない見覚えのある

若い男性いた。

「ちょっと、何をやってるんですか?」

「何をって、興味がありまして、」

「興味があって来ていい場所ではないです。」

石狩はあることに気づいた。

「どうやって入ったんですか?」

若い男性が不思議そうな顔をして

「普通にテープをくぐって来ました。」

(違うそういう意味じゃなくて)と言おうとする石狩を無視して若い男性が

「犯人は高山と言う女ですね。」

男性の一言に驚いた。片山さんの彼女の中島さんではなく、彼女の友人の高山が犯人だと

「待て待て待て、犯人は中島 奈海だ!

彼女以外に犯行ができる人はいない」

いつの間に島井警部が来ていた。

「だいたい君は誰だ。

部外者が現場に入ってくるんじゃない。」

珍しく島井警部が正しい事を言った。

「中島 奈海は日課としてランニングをしているらしいが出発時間と距離を計算すると犯行

時間と合うんだよ。」


 若い男性は、深くため息をつきあることを語り始めた。

「ランニングに行った時は朝の6時頃往復

2時間の距離で帰ったのは8時

なぜ6時に目撃証言があって8時の目撃証言がないんですか。」

確かに8時頃には、人がたくさんいるはずなのに目撃証言がないのはおかしい。

「つまり、彼女は家から出ていない。」

「仮にそうだとしてもなぜ高山 咲希が犯人だと思うその根拠はなんだ。」


 島井警部がそう訪ねると、若い男性が推理を語り始めた。

「おそらく中島さんは彼氏の相談をよく友人の高山さんにしており知らないうちに片山さんに好意を持ったと考えられます。」

あまりにも都合のいい推理に島井警部が言った

「何故そんなことが分かる。ずいぶん都合の

いい推理だ。それに中島 奈海が6時に通ったと言う証言がある」

若い男性が島井警部に向かって静かにするよう合図を送る。

「その証言は本当です。けど中島さんではない高山さんです。」

「その根拠は」

「高山さんは、中島さんの家に行った時に服を盗んだとすれば、中島さんに変装して現場に向かったんです。その証拠にまだ付き合っていた片山さんと中島さんが写った写真が隠されていた。」

かなりの推理力の差に皆が驚く、確かにそれだと犯行が可能だ。しかし、

「じゃあ、テーブルの上の空き缶はなんだ。」

島井警部が疑問を聞いた。

「それはただ友達と飲んだ後ですよ。」

意外な形で事件は終わりを迎えた。

高山は、好意を向けても振り向かない片山に殺意を持ったのが原因だった。「片山を殺した後にした自分も死ぬつもりだったが死にきれなかった。」と証言していた。


 その晩、石狩は昨日の店に向かった。店内には、やはり若い男性がいた。

「いらっしゃい。また来たんですか。」

前と違って落ち着いている。席に座るといきなりカクテルが出てきた。

「頼んでませんが、」

「サービスです。」

昨日と同じ会話をした。

「なんて名前のカクテルですか?」

昨日は聞かずに飲んだので聞いてみると。

「ハイ・ライフです。

意味は、あなたにふさわしい。

まるで今日の事件みたいですね。」

事件と聞き、石狩は刑事の顔に変わった。

「あなたは、何者ですか?」

かなりストレートに聞いてみた。

若い男性が微笑み答えた。

「Bar 暁 の店主 音無 雄介

 副業で探偵やってます。」

昼は探偵、夜はバーテンダー、いつ寝てるんだ

と石狩は疑問を持った。





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