ストーリーの骨子そのものは
「未知の存在に対して異能を持つ若者を学園に集めてなんやかんや」
というライトノベルの王道、学園能力バトルものそのものであり
これだけでは特筆すべきことはない。
しかし
・昨今の無駄に説明的なタイトルに真っ向から反する意味深なアルファベットのタイトル
・説明を極限まで省き、挑戦的なワードが並ぶあらすじ
・章の終わりの「現在公開できる情報まとめ」
これらの要素が読み手を挑発し、作中の伏線めいた描写を深読みさせる効果を発揮しているのが興味深い。
独特の文体も相俟って、ついつい続きが気になってしまった。
さて、これがただのハッタリか、大仕掛けへの前フリなのか、是非見守らせて貰いたい。
※ここまで謎を煽るスタイルなら、キャッチフレーズも意気込みじゃなくて
もっとそれっぽいものにしたほうが効果的かも、とお節介
※作品は絶対評価したいので星の数は適当です(全部星二つです)。
※12話まで読んだ感想です。
宇宙に現れたもう一つの地球(このレビューでは仮にチジューと名付けます)。
宇宙戦争の立ち回り全一だったチジューに我らがチキューはあっさりコテンパンにされてしまう(死傷者一億人以上)。
しかし諦めないチキューは、いつか来るチジューとのルーザーズからのリベンジマッチのため、日本に能力者学園を八つ設立し、牙を研ぎ続けていた。そのうちの一つに入学した劍という少年の物語です。
※※
冒頭、入学式の一日で三回バトルがある、血気盛んな作品です。出会って五秒でバトル。絡まれてバトル。女の子を助けてバトル。展開が早い。良いです。
さらに舞台の獅羅雲学園というのがなかなかに即物的かつ俗物的で、「この世は金だ」とクラスごとに億単位の補助金を出し、争わせる。Sクラス三億から始まってDクラスは五千万、最下位のEクラスはゼロ。無慈悲です。金と青春の能力者バトル。ある意味夢も希望もあります。
※※
小説の形式や書き方に、正解はあるんでしょうが、自分には分かりません。
最初に読んだときは、台詞の前に登場人物の名前があったり場面転換が名詞一発の戯曲形式をとっていましたが、途中で方針転換したようです。
そこに対して何か申し上げるほどのものを納めていませんが、投稿サイトです。読み辛さというのは、(拙作も含めて)大なり小なりありますから、自分の“型”というのを大事にして、思うように書いて行って欲しいものです。
何しろ勢いがある。文体からして全力疾走。まだタイトルの意味も分かってないのにガンガンストーリーが進んでいく。エネルギーに満ちています。ところどころツボに嵌ります。面白いです。
話がどう転がるか分からない。安全バーが降りてないジェットコースターみたいな緊張感も、読み進めれば爽快です。
どうかこのまま完結まで突き進んでもらいたいです。