一緒に物語を楽しみ、くつろげる相手がいる。それは、最高に贅沢な時間だと思います。この小説の好きな点は、もっともっと甘くすることもできそうなのに、控え目で素朴なタッチで描かれているところ。また、祖母の存在が、ゆるさや暖かさと共に、僅かな緊張感をもたらしています。だからこそ、いつか失われてしまう時の中に、永遠を感じました。
温かな空気に包まれる、祖母と孫の関係性や気持ちが良いです。
作中で朗読をしている季節が、冬だというのが良いですよね。外は寒く、息は白く。そして、家に入れば石油ストーブの音がする。朗読を終えた後、心安らぐリビングでのひと時がある。この作品には、温度が描…続きを読む
少女と、歳上の従兄弟と、おばあちゃん。ありふれた家族のありふれた時間と、まだはっきりとは名前のつかない感情の行き来。このささやかな物語に特別な出来事は必要なく、ただその情景を思い描ける描写が有っ…続きを読む
何とも不穏な空気から始まる一作ですが、一転して思いもよらない方向に向かいます。そしてこのお婆様のねぇ……。最高。人生の時間は限られているとは言いますが、その貴重な時間を割いて読む価値は絶対にありま…続きを読む
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