エピローグ

第31話 きっとまた、どこかの未来で


 ―― 遠い未来 ――



 ――神社の境内に、笑い声が響く。



「ねえ、はやく食べさせてあげなよ」


「ちょっと、急かさないでよ」



 串焼きを両手に持ち、わたしはちょっぴり声に怒りを混ぜた。



「ごめんね、この猫降りてくれなくてさ」



 もう、と思いながらも、彼の口元に串焼きを持っていく。



「あーあ、いちゃついてくれちゃって。なんだか今日は暑いわね」


「てかよ、お前の猫のせいだろ」



 口元に差し出した串焼きにがぶりとかぶりつき、彼は言った。



「うん、うまい。お祭りで食べる串焼き、最高だね」



 それを見て、食べさせてあげてよかったと思うわたし。



 ほうっと安堵のため息をつくと、大きな音と共に、夜空に七色の花火が上がる。



「花火だー!」



 相変わらず元気なんだから。



 五人で肩を並べて、色とりどりの夜空を見上げる。



 その手には、それぞれ色違いのヨーヨーがぶら下がっている。



 わたしはなんだか嬉しくなって、みんなに言った。




「ねえみんな! 来年も再来年も、またこうして、みんなで一緒に花火観ようね!」






 夜空へ虹の架け橋を/了





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夜空へ虹の架け橋を 宝井かもめ @sorakado_kamome

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