比喩と不条理
鹽夜亮
第1話 永遠の盲目
永久の孤独が青天井を眺めている。深い暗闇に覆われた世界の底で、彼は空想的自慰に耽っている。
彼は青天井が青天井であることしか知らぬ。
ましてやそれがそれであること以外に何の興味も持たぬ。
彼にはその青天井に届かぬという事実さえあればそれで事足りる。
されど、彼の空想的自慰行為は、ある武士に言わせれば、有限の、生命の根源たる神秘の園を知ることに相違ないという。
だが、彼の空想的自慰は所詮空想的自慰にすぎぬ。それ故に、彼が彼のそれをそれ以上の何かと想像することすらない。
彼の世界はただ暗闇である。
彼はそれに満足も不満足も抱いてはいない。彼が知っていることが、ただそれだけである。であるから、それがそれであるとしか彼は知り得ない。
ある世界では、彼を『蛙』と呼ぶらしい。
されど、無論、彼が彼自身を知ることはない。
彼は孤独が故に永遠に盲目である。
世界は暗闇である。ただ、彼にとってそれだけである。
※追記:この作品は前提においてある破綻を生じている。それは非常に初歩的な破綻である。聡明な読者の皆様はその『違和感』に気づかれるかもしれないが、私はあえてそのままにしておこうと思う。
比喩と不条理 鹽夜亮 @yuu1201
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