鹽夜亮

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彼の書いた手紙たち。 彼は何よりもただ、愛していた。

彼は小説を書いている。 書いていると言っても、それは稚拙なものに過ぎない。しかし彼は、ひたすらに書いている。…

振り子の如く揺れ動く、久遠の感情に透過する。繊維質の細胞、明瞭な思想、崩壊した快楽。 眠りについたオフィーリアの目覚めを阻害する、彼岸花の赤に柘榴の紅が重なる。…

目の前に壊れた箱がある。それは壊れた箱だった。 だから、もう仕方がなかった。私はそう思った。そう、それは壊れた箱なのだから、もう万事仕方のないことだった。

彼女に会いに行ったのは初めてだった。 その笑顔を思い返しながら、私は帰り道の高速道路に車を走らせていた。彼女と過ごした時間は二日間にも及ばなかった。しかし、その二日間が私に齎した…

一話完結型、掌編と短編を集めたものです。 アルファポリス内の別名義「憂月柘榴」に載せるものと共通の内容となります。

ある夏の暑い、暑い日。 彼女は死んだ。…

人間は、人間に沈む。 柔らかい褥に呑み込まれるように、存在ごと、沈下する。それは緩やかに、底なし沼に引き込まれるかのように、体温で溶解することをお互いに繰り返しながら、深く深く堕…

とある繁華街、雑居ビルの屋上。 確かにそっと交差した、二つの煙。

熟れる時を待ちながら、そっと腐って地に堕ちる。 月を憂いて裂けた柘榴。 やっと私は私になる。 ※アルファポリス様にて『憂月柘榴』名義で掲載した作品と同一となります。

とある男の食事。 それは赤ワインに溶けていく。

考えたことを書く。 ただそれだけの文章たち。

違和感は蓄積する。 そしてやがて花開く。 血と脳液でできた花が。

灰と焔。 円環する両輪。

『君の全てをくれ』

牢獄の中で、男は語る。 俺の脳は膿んでいる、と。

ただ、そこにあった夜。

私は、赦される。

俺の書く理由を、ここに書く。

供物の血肉。

一話完結型、ホラーっぽい何かを集めたものです。

神経と血管、世界と接続されたその果て。

天国、地獄。

俺は、目覚めたら正方形のこの場所に居た。

極地にて待つ、彼岸の女王

また一つ、波紋が広がっていく。…

私は追いかけ続ける。 決して形容できない、『それ』を。

君たちが望んだ世界を、どうぞ満喫してくれたまえ。

私は貴女の瞳を見る。 貴女は私の瞳を見る。

俺は君の部屋を訪れる。 くだらない話をしよう。俺が君に、君が俺になるまで。

語るべきものは語り終えた。 今こそ、言語と自我を超越せよ。 無意識の深海へ。

歩道橋の上、男は高らかに謳う。 「さぁ演劇を。さぁさぁ、演劇を」

深夜の峠。 そこにしかない、高揚を求めてしまうある男のお話。

不登校、社会不適合、まぁ何でもいい。ドロップアウト、と言われる道を外れた、または外れそうな全ての人へ。

私は腕を切る。 そして緩やかに流れ落ちる感受性を眺めた。

好奇心から始めた旧母屋の探索は、一つ目の発見によって、俄かに熱を帯びてゆく。 そして辿り着くのは、『家と血』

『薔薇に囲まれた家』 その噂を幼少期から知る二人は、やがて本物の『悲しみ』を知る。

「彼女は天使」誰もがそう言った。 ただ二人を除いては。

Aから「炊き込みご飯」を作る、と連絡を受けたB。 他愛もない会話の中に、潜む違和感の末に待つものとは。

あまり形式ばったことには拘らず、自由な短歌を載せていきます。

無為なままに。宙に舞う言葉を縫い付けた詩集。

狂気を呑んで艶かしく、笑え。

私は、私の亡骸を照らす月の墓標を建てる。 あらゆる思考の欠片が、やがてそうなることを祈って。

沈み込み、揺れ動く、その中に埋没すべきとある警句。

人生は短編に若かない。

孤独なケルベロスのとある日。

道化師や軽妙こそが憂世とな

あぁ、この馬鹿らしくも美しい世界とどうしようもない此の阿呆にありったけの拍手と罵声を。

目的地は遥か遠くです。 さぁ、おさんぽをしましょう。