覚悟の少女と神社(未完)

第1話

崩れていた瓦礫や、大量の砂が、みるみる形を成してゆく。


目の前に雄大な構えをとったのは、神社だった。


私自身の体は、輪郭がはっきりしていない、ただの光の集合であった。

古びた電灯特有の、くすんだ黄色のようなあの色。


私は、石階段を登り始めた。


1段1段登ると、私を構成する光量は漸増していった。


つれて、私の周りに新たな光が現れた。


明るめのはっきりとした、生命力を感じる青色。


私の周りをぐるぐると飛び交い、祝福してくれているよう。


青色を身に纏いつつ、上を見上げると、空があった。


ダークブルーの背景に、玲瓏燦爛と散りばめられた星々。


手をうんと伸ばせば届く、星もきっと掴める。


純粋な心と目で追ったそらの天井。


でも、私は掴み取れなかった。この手の中に星を収めるには、まだ早かったのかな。


まるで、画家が自身の胸中を巧く表現できない痛苦に悩むかのように、疑問は膨らむ。


でも、初めて星を見たあの感動を忘れることは、絶対に無いだろう。


いや。絶対に忘れたくない。


忘れない、という強い想いを抱き、お賽銭を投げて祈った。


無数に見える星の中の1つが、少しだけ煌めきを増したような気がした。

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あなたの人生に、お供。 テマツカ佐藤 @yammyhl

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