第7話

 俺は既に死んでいる。


 その事実を思い出し、虚脱感に襲われる。

 今まで行ってきた事は全て無駄になってしまうのかな。

 でも、あの森は綺麗な状態だった。

 ということは、俺の活動が功を奏し、誰かが守ってくれたのかもしれない。

 …というより、1番不可解で気がかりなのは、彼女のことについてだ。

 彼女は何者なのか。何故俺のカメラを持っていたのか。



 全てを確かめるために、森へと向かった。








 彼女は、カメラを通さなくても見えるようになっていた。

 いつもの湖のほとりに立ち、光を受ける彼女。

 今までの服装とは違い、薄い白いレースの、ドレスに似たような出で立ちをしていた。

 差し込む光に照らされ、まるで天女かと思わせる雰囲気を彼女は纏っていた。

 彼女と話せるのは、きっと、これが最初で最後になる。

 そんな予感がした。



「カメラは見たのでしょう?」


 彼女の第一声。初めて聞くその声は、透明感があり、癒やされる声だった。


 不思議と引き込まれる。彼女はこんな声で喋るんだ。


「見た。多分、この森で何があったか知ってるんだろう?」


 彼女は頷き、肯定した。少し得意げに。


「もちろん」


「でもまずは、君の正体が知りたい。一体、何者なんだ?」


「私?私は…。強いて言うなら、森の精?」


 妖精なのか?


「ちょっと違う気がする。気がついたらこの森にずっと住んでいたの。」


 それは、どれくらい?


「もう思い出せないぐらい、昔から。」


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