第6話

 そのカメラには、あの森そっくりの写真が保存されていた。

 幻想的な独特の空気。飛んでいる鳥。

 咲き誇っている花、

 今日探検してきた洞窟。

 そして、いつも最初に向かった湖。

 間違いない。"あの"森だ。



 でも、大きく様子が違った。

 木々の葉はところどころ枯れ、鳥は羽根を怪我しているようだった。花もいくつかしおれている物があり、

 あの湖は。

 日光を全く反射せず、くすんでいた。




 それを見て俺は


 俺は


 俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は……













 いや。


 思い出せ。


 俺は、あの森を見つける前、何をしていた?


 酷い頭痛を感じる。


 そうだ。このカメラは元々俺の物だ。


 暗い…暗く、もっと暗い。


 森を守る活動をしていたんだ。

 その志半ばで俺は…。


 開拓業者に殺されたんだ。





 雨の降りしきる中、野蛮な大声で何かを叫びながら俺を殴る大柄な男達。

 蹴飛ばされ、踏みにじられ、全身に酷い痛みと、口内に血の味を感じた。

 奴らは、容赦なく俺を嬲り、地に這いつくばらせ、土の底に埋めた。

 俺は最後の力を振り絞り、奴らの背中を写真に納めた。

 その写真も、このカメラに入っていた。




 全て思い出した。

 何故彼女がこのカメラを持っていたかなんて知らない。

 しかし、本当に幽霊なのは彼女じゃなかったのだ。


 本当に幽霊なのは。



 俺だ。

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